RNAと言えば、セントラルドグマの中心的な役割を担い、また遺伝子発現の様々な過程を制御する因子としての役割に注目しがちですが、生命の起源を担ったかもしれないという、もう一つの側面を忘れてはいけません。RNAはタンパク質に負けず劣らず、複雑な構造をとり、様々な分子を認識する能力を兼ね備え、さらにはリボザイムとして酵素の働きも担います。40億年前の太古の地球において、RNAが生命誕生の鍵を握るという考え方が、RNAワールド仮説です (Gilbert, 1986)。この学会にはRNAワールド仮説の信者が大勢いることでしょう。私もその一人です。証明できないことをサイエンスとしてアプローチするのはなかなか難しいので、普段、RNAと生命の起源について、思いを馳せる機会はあまり多くありません。

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思い返せば、大学院の学生の頃には、セントラルドグマとかRNAポリメラーゼなどという単語に、人知れぬ愛着を感じていた。学位を取得した後にも、職業として分子生物学分野にはいたが、上記の問題を直接に扱うことはなかった。そこで、期限付きだった前職が終了に近づいた1999年に、自身に将来の研究を問うた結果として、次の職場 (2001年から慶應義塾大学先端生命科学研究所) ではRNAのことを真正面からやろうと、まず、国際RNA学会 (RNA Society) に入会し、その名も「RNA」という雑誌を定期的に購読することになった。RNA Societyの年会に参加するのは2002年の米国ウイスコンシンからである。その後、現在まで、2005年のカナダを除き、すべての年会に参加した。RNA 2004の年会の頃に、いずれRNA 2009とかが開催され、それにも参加しているのだろうかと思ったことがあったが、気がつくと今年のポーランドはRNA 2019であった。考えてみると、本当に何も知らなかったRNAの研究分野に関して、その知識の半分はこの年会で、後の半分は実験などから学んだと思える。年会の要旨集は20冊近くが手元にあるが、読み返すことはなくとも、捨てるに捨てられない (図)。

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理化学研究所の岩崎信太郎と申します。この度、RNA学会のご推薦をいただき、平成31年度文部科学大臣表彰若手科学者賞をいただくことができました。鈴木勉会長をはじめ、評議員の諸先生方、ご推薦いただきました先生方、書類準備を手伝ってくださった庶務幹事の伊藤拓宏さんに厚く御礼申し上げます。また、普段から共同研究をさせていただいているRNA学会内外の諸先生方、これまで同じ研究室で研究生活を共に過ごしてくれたラボメイトのみなさん、また現在の研究室のメンバーみなさんに支えられての賞だと思っております。自分が賞を受賞した、というよりもこれまで一緒に研究を共にしてくれた周りの皆さんのただただ名代として賞を受けとっただけだと思っています。みなさま本当にありがとうございました。

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東北大学大学院薬学研究科遺伝子制御薬学分野(稲田研)に所属している李思涵と申します。出芽酵母を用いて、不活性なリボソームRNAを取り込んだ機能不全リボソームの認識・分解機構について研究しております。昨年大阪で開催された第20回日本RNA学会年会にて青葉賞に選出して頂きました。初めてのRNA学会参加で口頭発表の機会を頂き、思いもかけず受賞することができ、心より感謝申し上げます。副賞として、国際学会の旅費援助を頂き、6月11日から16日に開かれたRNA Society年会(RNA2019)に参加することができました。歴史のある大きな学会に参加したいという思いに加え、開催地がポーランドのクラクフであることが非常に魅力的で、中欧に行ってみたいという気持ちで参加を決めました。今回は、RNA2019への参加について報告いたします。

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学会からのお知らせ

The Nobel Prize in Physiology or Medicine 2024 !!

Congratulations to Dr. Victor Ambros and Dr. Gary Ruvkun on the Award of the Nobel Prize in Physiology and Medicine, 2024.
“for the discovery of microRNA and its role in post-transcriptional gene regulation.”

https://www.nobelprize.org/prizes/medicine/2024/press-release/

2024年10月07日 (月)

古市-カリコ賞の創設と第1回古市-カリコ賞受賞候補者募集のお知らせ


日本RNA学会では、このたび「古市―カリコ賞」を創設いたしました。この賞の創設にあたっては、先日の東京年会の特別講演者であるKatalin Kariko博士から、先日惜しくも他界された本学会名誉会員の古市泰宏先生を偲ぶための賞の創設が提案され、そのために年会講演謝金を含む賞の創設準備費をご寄付いただきました。そこで、本学会では、このご提案をありがたく受け入れ、この賞を「古市―カリコ賞」と命名し、未来のRNA研究を力強く先導する若手・中堅研究者を対象に、受賞候補者を募集することにいたしました。会員の皆様からの数多くの応募をお待ちしております。

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2024年09月01日 (日)

第25回日本RNA学会年会 発表演題のアーカイブが公開されました

第25回日本RNA学会年会 発表演題のアーカイブが下記の日程で公開されています。

ぜひご覧ください。

・公開期間:2024年7月15日(月)〜2024年7月29日(月)

URLhttps://www.rnaj.org/members/annual-meeting-archive

本アーカイブは、日本RNA学会の会員(一般正会員と学生正会員、および賛助会員、名誉会員の方々)、並びに、第25回日本RNA学会年会に参加登録された方がご覧になれます。

2024年07月15日 (月)

会報最新号より

MicroRNA therapyへの期待

程 久美子   Kumiko Ui-Tei
1) 東京科学大学・総合研究院・特任教授
2) 東京大学・大学院理学系研究科・生物科学専攻・特任研究員
 
米マサチューセッツ大学のVictor Ambros博士と米ハーバード大学のGary Ruvkun博士は、線虫のmiRNA発見についての論文を1993年に発表し(1, 2)、それから約30年後の2024年にノーベル生理学・医学賞を受賞した。miRNAは21-25塩基程度の一本鎖のノンコーディングRNAであり、部分的に相補的な塩基配列をもつmRNAにアンチセンス鎖として対合し、その翻訳を制御する(図1)。しかしながら、このような小さなRNAによる遺伝子発現の制御は、限定的な原理として捉えられ、miRNAに関する次の論文が発表されたのは、7年後の2000年であった(3)。それ以降は、生命科学におけるmiRNAの重要性は明確で、miRNAによる遺伝子制御はヒトを含む多細胞生物にとっても不可欠のメカニズムであることが明確となり、ヒトではすでに2,000種以上ものmiRNAが同定されている。

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2024年12月10日 (火)

microRNAのノーベル賞受賞に寄せて-- 植物のmiRNAの話

東京大学 

渡邊雄一郎

今回のVictor Ambros, Gary Ruvkun両氏のノーベル賞受賞の知らせを聞いて、2000年前後のことを思い出した。線虫でのlin-4に続くlet-7の報告から数年でマウス、ヒトにもmiRNAが存在し、その中には種の違いを超えてlet-7なども含まれることなどが報告された。次に何がくるかと思っていたら、私が扱っていた植物の世界にもmiRNAがあるということになった。植物で初めてのmiRNAと機能との関連が見つかったという報告は2003年9月Natureで発表された。そのmiRNAはmiRJAW (JAWは JAGGED AND WAVY(波打ったという意))いう名で報告された。掲載号の表紙には奇妙な葉の形態を持つシロイヌナズナの写真が登場した。なぜこんな形態になるのかはすぐには理解できなかったことを覚えている。現在このmiRNAはmiR319として登録されている。以後、にわかに植物分野でもmiRNA研究が賑やかになった。

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2024年12月06日 (金)

The complex life of RNA 参加報告

九州大学・野島研究室博士課程3年の中山千尋と申します。新生RNA解析を用いて、RNAポリメラーゼIIの転写終結制御をテーマに研究しております。この度、RNAJ Travel Fellowship Programに採択いただき、ドイツ・ハイデルベルグで開催されたEMBL Symposium・The complex life of RNAに参加いたしました。この度はその参加報告をさせていただきます。

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2024年12月03日 (火)

公募情報等

The Friedrich Miescher Institute for Biomedical Research (FMI) Tenure track Group Leader position in MULTICELLULAR SYSTEMS

現在、Friedrich Miescher Institute for Biomedical Research (FMI)でTenure track Group Leader positionを公募しています。
詳細は下記をご覧ください。
締め切りは2025年 2月23日です。

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2024年12月17日 (火)

熊本大学発生医学研究所 共同利用・共同研究の公募

国立大学法人熊本大学発生医学研究所は、これまで蓄積した研究成果、研究技術と解析技術、関連情報を開放し、共同利用・共同研究拠点として活動しています。この度、令和7年度において、本研究所の先進的な各種研究施設を活用した共同利用・共同研究の公募を行っております。詳しくは以下のURLを御覧ください。

・熊本大学発生医学研究所共同研究募集要項(共同研究支援)
https://www.imeg.kumamoto-u.ac.jp/kyodo2025kobo/

・熊本大学発生医学研究所共同研究募集要項(導入研究支援)
https://www.imeg.kumamoto-u.ac.jp/kyodo2025kobo/#1

・熊本大学発生医学研究所共同研究募集要項(国際共同研究・共同利用支援)
https://www.imeg.kumamoto-u.ac.jp/kyodo_international2025/

2024年12月05日 (木)

木村資生博士生誕100周年記念講演会

遺伝研が年に一度開催する公開講演会を、今年は木村資生(きむら もとお)博士の生誕100周年を記念した講演会としてオンラインで行います。木村博士は、遺伝研を代表する研究者。博士は「分子進化の中立説」を1968年に提唱し、進化生物学分野にセンセーションをおこしました。今につながる木村博士の業績と遺伝研の研究成果をお楽しみください。

■日時: 2024年11月16日(土)13:00-15:00
■会場: オンライン(Zoom)

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2024年10月15日 (火)

今後のイベント

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