2019年11月 第40号

発明・発見の糸口というのは思わぬところから得られることが多い。細い糸の流れは、次々に合流し、大きな流れに育ち、新しい概念の発見に至るということになるのであり、ゲノムコードの解読は、まさにそれだった。1961年の「ニーレンバーグとマテイのポリU/フェニールアラニン実験」以来UUUとPheの関係がわかりーーーそのほか、PNPaseの逆反応で作られるPolyAや PolyCを使ってーーーリジン (Lys/AAA) やプロリン (Pro/CCC) などのコードを予想するデータはあったが、それでも限界があり、障壁にぶつかっていた。そんな時、キッカケを作ったのは、日本からの論文、転移RNA (tRNA) とリボソーム (Ribosome) の結合実験だった。

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