2017年01月 第35号

 渡邊さんのご逝去は、まさに寝耳に水で、無念としか言いようがありません。

 長年にわたり、研究面でも、個人的にも親しくお付き合いをさせていただきました。ここ2、3年の賀状には、体調不良をのべておられましたが、研究面ではまだ活躍しているとのことでした。しかし、昨年の賀状では、研究のほうもままならないと書かれていて、心配をしていましたが、その数ヶ月後、このような訃報に接するとは思ってもいませんでした。

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 渡邊公綱さん、私より10年も若くして、亡くなられてしまい、悲しく、寂しいとともに、本当に残念でなりません。渡邊さんの先生であられた今堀和友先生、三浦謹一郎も亡くなられてしまい、それゆえ、私が渡邊さんの先輩、友人として、一言述べさせていただきます。

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 渡辺公綱さんのご逝去の知らせを受けた時は、本当に驚きました。それは、彼が以前から体調がすぐれない程度の噂は耳にしたことはありましたが、それ程深刻な状態にあるとは認識していなかったからです。渡辺さんが他界されてしまった今、こうして彼との交友を回顧して、改めて過ぎ去った思い出を懐かしく思い出しております。

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 平成28年10月16日、日本RNA学会第三期会長を務められた渡邊公綱先生がご逝去されました。心よりご冥福をお祈りいたします。先生の生前の本学会ならびにRNA研究への多大なご貢献に感謝し、RNA学会会報では、先生と交流の深かったみなさまにご寄稿をいただき、ここに追悼文集を作成いたしました。あわせて、先生のご功績を偲び、先生のご略歴を巻尾に採録いたします。

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  1. 渡邊公綱先生を悼んで    日本RNA学会会報
  2. 渡辺公綱さん追想      志村 令郎
  3. 渡邊公綱さんの早すぎた死を悔やむ 西村 暹
  4. 渡邊さんとの交流      大澤 省三
  5. おもいで          大島 泰郎
  6. 渡辺公綱先生の思い出    関根 光雄
  7. 渡辺公綱先生の思い出    横山 茂之
  8. 渡辺公綱先生をしのんで   堀 弘幸
  9. さようなら         姫野 俵太
  10. 渡邊先生との思い出     浅川 修一
  11. 東工大渡辺研究室の思い出  横川 隆志
  12. 渡辺公綱先生と私      渡邊 洋一
  13. 渡辺公綱先生の思い出    横堀 伸一
  14. 渡辺公綱先生を偲ぶ     富田 耕造
  15. 渡辺先生の遺志を継いで   鈴木 勉
  16. 恩師 渡邊公綱 先生     鴫 直樹
  17. 渡邊公綱先生略歴      

第19回日本RNA学会年会(RNAミーティング)を、2017年7月19日(水)から21日(金)の予定で富山国際会議場大手町フォーラム(富山市)にて開催いたします。

昨年は京都で国際学会(第21回RNA Society Meeting)が開催されたため、本年会は国際学会との併催として実施されました。国内学会としては2年ぶり、北陸地域では初の開催となる第19回RNAミーティングでは、日本発の優れたRNAサイエンスの成果が披露・発信されることを楽しみにしています。

「次世代を担う若手研究者のエンカレッジ」は本年会の重要な役割です。その主旨の企画(「青葉賞」の授与および前回受賞者の講演、キャリアパスセミナーなど)は今回も継続して実施を予定しています。

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 私は、昭和62年度の東京大学工学部での卒業研究の際、三浦謹一郎教授の教室を配属先に選び、その際、当時、同教室の助教授だった渡辺公綱先生が三浦先生と一緒に考えられたテーマを選んだ。これをきっかけに、現在もなおミトコンドリアタンパク質合成系の研究を続けているのだが、渡辺先生との出会いは、研究室配属の約1年半前にさかのぼる。

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プロローグ

あれは1974年3月の末だったろうか。東京駅八重洲口の地下食堂で、筆者は、同門で5年ほど後輩になる野本明男さんと飯田滋さんの3人と酒を酌み交わした。この日、野本さんの同期の人達の博士号取得のお祝いが研究室であって上京し、その帰りだった。筆者は4年前から国立遺伝学研究所へ勤めていたので、二人は、新幹線の最終便で三島へ帰る私を送ってきてくれたのだ。この飲み会はまた、2~3か月以内に3人がそれぞれ海外へ留学することになっていたので、自然に、3人だけの壮行会にもなっていた。恩師の浮田忠之進教授(東大薬・衛生裁判学)が2年前に亡くなられていたので、就職先など将来のことに関して、皆が不安な中に居た。若い二人は、豪気なところがあって、「なに、海外で良い仕事をして認められれば、何とかなるさ」ということであった。「いい仕事をして帰ってきても、先生がいなければ、就職先を世話してくれる人がいないかもしれない」などという一抹の不安もあることだったが、それを振り切るように、これから留学先でやると思われる研究について3人の話は弾んだ。

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新年明けましておめでとうございます。

大隅先生のノーベル賞受賞の興奮が冷めやらぬ中、2017年は、それでも厳かに静かに始まったというのが個人的な印象です。諸事情で、今年はどこへも遠出をせず、家族とともに新宿で新年を迎えましたが、穏やかな快晴に恵まれ、何とも清々しい気持ちでゆったりと三ヶ日を過ごすことができました。

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ロシュ分子生物学研究所のポスドク期間は2年と決められているので、筆者が着任して1年が過ぎると、前からいた3人のポスドク達は次々と別の研究施設へ移っていった。彼らの後半の1年間は、mRNAキャッピングという先端的研究に関わることができたこともあり、良い論文を連発していたので、次の職場へも喜んで迎えられていった。イスラエルから来ていたサラ(Sara Lavi)、オーストラリアからのジェリー(Gerry Both)はそれぞれ故国の国立研究所に就職し、インド人ポスドクのクリシュ(Muthukrishnan)はカンサス大学の助教ということで、それぞれ、良いポストを得て散って行った。そして、この3人の代りに入ってきたのは、のちに世界的に名を馳せることになるマリリン(Marylin Kozak:コザックルールの発見者)とナフム(Nahum Sonenberg:eIF4Eの発見者)の二人と、それから、少し遅れて、毛沢東が起こした文化大革命の混乱の中を、家族を中国に置いて、留学してきた中年の中国人ダショウ(Dashaw Wong)である。この3人はそれぞれの理由で印象深い。

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キャップ依存タンパク合成の発見

高等生物のウイルスメッセンジャーRNA(mRNA)がメチル化されていて、その頭にm7GpppNm-という特殊な構造があることが、1975年1月、Nature誌6、PNAS誌(Furuichi/Shatkin7, Wei /Moss8)、FEBS Lett. (Urushibara et al.29)で報告されてからは、世界中のmRNA研究者やタンパク合成に興味を持つ研究者には一斉に火が付いたようであり、ここでもスリリングな研究競争が始まった。mRNAキャッピングについては、それがどの様にして作られるのか、タンパク合成以外にも、どのような機能を持つのか疑問点はあったが、最も興味を集めたのは「タンパク合成への影響はどうなのか?」という点であったので、そこから始めたい。

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京都大学ウイルス・再生医科学研究所・生体応答学研究部門感染防御研究分野(竹内理研究室)博士課程2年の貞廣暁利と申します。このたび、2016年8月31日から9月2日にかけて北海道で開催されました、「RNAフロンティアミーティング2016(以下、フロンティアミーティング)」に参加させていただきましたので、ミーティングの様子を学生目線でご報告させていただきます。

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