最後の巻頭言
COVID-19の発生から約2年が経過しました。日本では第5波が収まり、元の生活を取り戻しつつありますが、お隣の韓国では感染が拡大してますし、オミクロンという得体のしれない新しい変異株が登場するなど、まだまだ終わりが見えない戦いに愕然とします。グローバル化が進んだ現代社会においては、世界的に収束しないと意味がないことがよくわかります。ワクチンや治療薬が全世界に普及することが唯一の解決策なのかもしれません。各国リーダーたちの英知に期待したいと思います。
COVID-19の発生から約2年が経過しました。日本では第5波が収まり、元の生活を取り戻しつつありますが、お隣の韓国では感染が拡大してますし、オミクロンという得体のしれない新しい変異株が登場するなど、まだまだ終わりが見えない戦いに愕然とします。グローバル化が進んだ現代社会においては、世界的に収束しないと意味がないことがよくわかります。ワクチンや治療薬が全世界に普及することが唯一の解決策なのかもしれません。各国リーダーたちの英知に期待したいと思います。
2020年12月末に、mRNAワクチンについて解説したエッセイを日本RNA学会のホームページに執筆した。このエッセイは、元々日本RNA学会の会員や医療関係者といった医学、生物学、生化学などの基礎知識がある人に書いたものだったが、予想外にTwitterやFacebookなどのSNSに取り上げられてしまった。また、文系の人でこれを読んだ方もいたようだ。鈴木さんや甲斐田さんは、これは立派なアウトリーチ活動 (一般向けへの専門技術解説) ですよと言ってくれたのだが、筆者としては世の中の情報拡散速度に、驚くばかりである。コロナ禍は大変な社会問題だが、この中で多くの人が “RNA”、というキーワードを知った事は重大だ。願わくは学会に参加する研究者、学生や、企業の協賛など少しでも増えてくれればいいと思っている。
はじめに
最近特に話題になっているmRNAワクチン。このmRNAにはキャップ構造がついていて、それが細胞内での翻訳には必須である。翻訳におけるキャップ構造の重要性は言うまでもない。古市先生による会報での素晴らしい連載により、日本RNA学会の会員の方々には、キャップ構造がどのようにして発見され、いかに重要かが伝わっていることと思う。今キャップ構造が再び注目されているこの時を、キャップ構造について大学院時代に研究をしてきた自分にとっては、大変嬉しく思う。その反面、キャップ構造は核内でも重要だということをみなさんはご存知だろうか、eIF4E以外に、NCBP1、2と現在データベース上で言われているキャップ結合タンパク質の存在をご存知だろうか、と思う時がある。会報を編集されている富山大学の甲斐田さんにお話ししたところ、許可をいただいたので、私が大学院時代に経験した、核内キャップ構造結合タンパク質精製への道のりを書かせていただくことにした。多くの会員の方は、核内キャップ構造結合タンパク質を精製、報告した二つの研究室のうち一つは日本の研究室だということをご存知ないかもしれない。そのことを知っていただくとともに、私がここから得た教訓を、特に若い会員の皆さんにお伝えできれば、と思う。
この2年間のコロナウイルスによる厄災を振り返ると、色々の記憶が重なって感慨深い。自粛のストレスや、経済の沈静化、緊急事態宣言など暗いニュースの中で、マスコミの報道がやたら騒がしかった。武漢での感染発生から始まり、ダイヤモンドプリンセス号、世界での惨状、PCR騒ぎ、コロナ治療薬、新型ワクチンの副作用、ワクチン接種の実施、コロナと五輪をネタにした政治闘争、そして、今後は国産ワクチンの開発をどうするかなどへ続くだろう。話題は次々に登場し、踊り、消えてゆくのであるが、mRNAワクチンの製造技術は、未知の新型ウイルスに対しても短時間で対処できるうえに、抗がん剤などへ応用できるうえに、国防上も非常に重要であるので、この国の根幹にかかわる技術として、是非、根付かせたいものである。そんなことで、老生もこの問題から目を離すわけにも行かず、25話から30話まで6話も続けてコロナに関するエッセイを書くことになってしまったが、これを最後としたい。
Congratulations to Dr. Victor Ambros and Dr. Gary Ruvkun on the Award of the Nobel Prize in Physiology and Medicine, 2024.
“for the discovery of microRNA and its role in post-transcriptional gene regulation.”
https://www.nobelprize.org/prizes/medicine/2024/press-release/
日本RNA学会では、このたび「古市―カリコ賞」を創設いたしました。この賞の創設にあたっては、先日の東京年会の特別講演者であるKatalin Kariko博士から、先日惜しくも他界された本学会名誉会員の古市泰宏先生を偲ぶための賞の創設が提案され、そのために年会講演謝金を含む賞の創設準備費をご寄付いただきました。そこで、本学会では、このご提案をありがたく受け入れ、この賞を「古市―カリコ賞」と命名し、未来のRNA研究を力強く先導する若手・中堅研究者を対象に、受賞候補者を募集することにいたしました。会員の皆様からの数多くの応募をお待ちしております。
第25回日本RNA学会年会 発表演題のアーカイブが下記の日程で公開されています。
ぜひご覧ください。
・公開期間:2024年7月15日(月)〜2024年7月29日(月)
URL: https://www.rnaj.org/members/annual-meeting-archive
本アーカイブは、日本RNA学会の会員(一般正会員と学生正会員、および賛助会員、名誉会員の方々)、並びに、第25回日本RNA学会年会に参加登録された方がご覧になれます。
第13期のキャリアパス担当になりました埼玉大学の高橋朋子と申します。キャリアパスというとアカデミア全体を通して課題が多めの難しいトピックですが、RNA学会に所属されている皆さまが、今後をポジティブに考える一端を担えればと考えております。
東京大学大学院理学系研究科
教授 塩見 美喜子
帰宅途中、カバンを持つ手が小刻みに振動する。数分おきに数回繰り返された。ついに老化現象到来か、と思ったが、原因はiPhoneだった。履歴には見覚えのない11桁の数字。同じ人からの様である。半年前にも似たようなことがあり、そのときは登録済みの家族からで、雨にぬれた市ヶ谷の横断歩道で自転車ごと転倒し、救急車で運ばれたという知らせだった。そもそも、私のiPhoneには10件しか電話番号が登録されていない。そこから家族とラボの関連者を除くと残りは3件となる。世界中の誰か、マイナス10、が私にiPhoneで連絡をとろうとしても、相手が誰なのか特定できない。特定できないため、一層対応を躊躇う。連続して着信があったので流石に気にはなったが、救急車ver.2みたいなものだろう、家族ではないしな、と放置した。地下鉄の中でもあったし、降りたとしても歩きながらの電話は気が引ける。急用ならメールが入るよね、とも思う。メールアドレスを知らない人なら、また連絡があるまでおいて待つしかないな、とも思う。最寄りのSantokuによったところで、この一連の出来事はすっかり忘れた。
東京大学大学院農学生命科学研究科 南 篤
東京大学大学院農学生命科学研究科の南 篤と申します。RNaseと休眠リボソームの相互作用について研究しております。この度、日本RNA学会の国際会議参加支援に採択いただき、アメリカ・ニューヨークCold Spring Harbor Laboratory(CSHL)で開催されたTranslational control 2024に参加いたしましたので、ご報告をさせていただきます。
遺伝研が年に一度開催する公開講演会を、今年は木村資生(きむら もとお)博士の生誕100周年を記念した講演会としてオンラインで行います。木村博士は、遺伝研を代表する研究者。博士は「分子進化の中立説」を1968年に提唱し、進化生物学分野にセンセーションをおこしました。今につながる木村博士の業績と遺伝研の研究成果をお楽しみください。
■日時: 2024年11月16日(土)13:00-15:00
■会場: オンライン(Zoom)
私たちの研究グループ、がん幹細胞研究分野では、世界に先駆け発見した酵素活性であるhTERTのRNA依存性RNAポリメラーゼ活性と発がんの関連を解明することを目指した研究を進めています。特に最近、TERTがRNA:DNAハイブリッド構造のRNAに対して、RNA依存性RNAポリメラーゼ活性を示すことを明らかにしており、これが発がんに寄与する分子機序の解明に取り組んでいます。一方で、RNAに関する基礎研究にご興味があり、「最終的に」がんに関する内容であれば、現在のテーマにはあまりこだわっていただく必要はございません。このような研究に興味があり、研究に従事していただける方を募集します。詳しくは国立がん研究センターホームページ、もしくは、JREN-INの公募情報をご覧ください。
・国立がん研究センター公募情報
https://www.ncc.go.jp/jp/recruit/kenkyuzyo_gankansaibou_kenkyuin.pdf
・JREN-IN公募情報
https://jrecin.jst.go.jp/seek/SeekJorDetail?id=D124100673
理化学研究所 開拓研究本部 齋藤生命現象エンジニアリング理研ECL研究チームでは研究パートタイマーⅠ・Ⅱ、またはアルバイトを募集しています。
詳しくはこちらを御覧ください。