班研究から個人研究へ (略号使用をやめよう)
- 詳細
- 作成者:野本 明男
野本明男さんが、3年間の癌との闘病の末、68歳の若さで亡くなった。闘病中も、彼が所長をしていた微生物化学研究所を訪ねたり、総括を務めていた「さきがけ・「RNAと生体機能」の研究会のためアドバイザーとして、一緒に紀州白浜へ出かけたりして、明るく元気そうな様子で振舞っていた野本さんを見ていたので、急逝されたことに大変驚いている。かけがえのない友人を失って寂しさはいまだ絶えそうもない。
2014年11月13日午前、野本明男先生がご自宅で静かに息を引き取られた。享年68歳。最後まで病と闘われた最後は、本当に穏やかであったらしい。しかしながら、多くの方々同様、私にもまだ実感がわかないままである。
野本明男先生が平成26年11月13日に急にお亡くなりになった。私は、その3日ほど前に野本先生が公益財団法人微生物科学研究会の理事長を退任するご意向を表明されたとの話を伝え聞いたばかりだったので、愕然としたのだった。あまりにも急であった。今年の4月に微生物化学研究所でお会いしたときにはお元気の御様子であったので、貴重な友人を失った悲しみがこみ上げてくる。まぶたを閉じるとお元気な野本先生の思い出の数々が浮かび、「やあ」という声が聞こえてきそうである。残念でならない。
野本明男先生の早すぎる訃報に接し言葉を失っています。最後まで復帰を目指して闘っておられたお姿を見てきましたので、残念でなりません。今はただ、安らかにお眠りくださいと願うしかありません。ポリオウイルスを中心にした先生の数々の業績は私からご説明するまでもありませんので、ここでは先生との思い出を記させて頂きます。
幾度、杯を重ねたでしょうか。どれだけ、議論したでしょうか。
日本にとってかけがえのない科学者であり、リーダーであり、私にとって学問の先輩であり、不遜ながら敢えて言わせていただけるのであれば数少ない年上の友人、野本先生そして野本明男の何を書けば良いのでしょうか。
野本明男は剣士でした。これで終わり、いかがでしょうか。
神髄を見抜く人でした。本質だけを語る人でした。
(平成16年 学士院賞受賞に際して 奥様のご厚意により掲載)
学歴
昭和44年 3月 東京大学薬学部卒業
昭和49年 3月 東京大学大学院薬学系研究科博士課程修了 薬学博士号取得
昭和61年12月 医学博士号(東京大学)取得
職歴
昭和62年 4月 東京都臨床医学総合研究所部長(微生物研究部門)
平成 3年 9月 東京大学医科学研究所教授(ウイルス研究部)
平成12年 2月 東京大学大学院医学系研究科教授(微生物学講座)
平成21年 4月 同研究科特任教授
平成21年 4月 千葉大学特任教授、真菌医学研究センター長(兼任)(平成25年3月まで)
平成21年 6月 東京大学名誉教授
平成22年 4月 (公財)微生物化学研究会、微生物化学研究所 理事長・所長
平成26年11月 (公財)微生物化学研究会、微生物化学研究所 辞任
受賞歴
昭和57年10月 日本生化学会奨励賞
昭和60年10月 持田記念学術賞
昭和62年11月 野口英世記念医学賞
平成 6年 4月 日経BP技術賞(医療部門)
平成11年 3月 内藤記念科学振興賞
平成14年11月 武田医学賞
平成16年 6月 日本学士院賞
所属学会
日本RNA学会、日本ウイルス学会、日本生化学会、日本分子生物学会、日本癌学会、日本遺伝子治療学会、日本ワクチン学会、日本薬学会、日本生体防御学会、日本神経ウイルス研究会、米国微生物学会、米国ウイルス学会
その他
文部科学省生命倫理・安全部会遺伝子組換え技術等専門委員会委員(2005.3~2012.4)
WHO, Member of Steering Committee on Polio and Hepatitis A (1988~1993)
WHO, Member of Steering Committee on Research to Support a Strategy to Stop Polio Immunization (2001~2007)
WHO, Member of Polio Research Committee (2008~2013)
国際ウイルス学会議 Advisory Council Member (1996~2002)
National representative (2003~2011)
日本ウイルス学会理事長(平成18年1月〜平成21年12月)
日本微生物学連盟理事長(平成20年2月〜平成24年1月)
文部科学省 科学技術・学術審議会臨時委員(平成25年2月〜)
厚生労働省 新型インフルエンザ等新興・再興感染症研究評価委員会委員
科学技術新興機構 さきがけ「RNAと生体機能」研究総括(平成19年4月〜平成24年3月)
平成26年11月13日、RNA学会会員であり、本学会の発展に永いあいだご尽力くださった野本明男先生がご逝去されました。先生の生前のご厚誼に感謝し、心よりご冥福をお祈り申し上げます。
写真の石はSaint Petersburg近郊のバルト海を望む波止で拾ったもの。その辺の石はみな角がなく丸い。遠い遠い昔、氷河はこの地を覆っていた。氷河は北のフィンランドあたりからゆっくりと南下してきた。氷河と地面の間に挟まった石は、氷河の移動につれ、その重みを背負いながらギシギシ軋み少しづつ削られ磨かれた。その移動の萬年のおぼろげな記憶は、この石の形と年輪のような線に残る。
少女漫画雑誌「Cookie」(集英社)で「グッドモーニング・キス」を連載されている漫画家・高須賀由枝先生が、2013年5月から愛媛大学に密着取材されています。2013年に松山で開催されたRNA学会も取材して頂きました。なんと、「RNA 2016 Kyoto」のポスターは、高須賀先生にデザインして頂きます。人気漫画家の先生と、RNAの研究。異色の組み合わせはどのように実現したのでしょうか。漫画の世界ではRNAの研究はどのように見られているのでしょうか。RNA学会に最も近い漫画家、高須賀由枝先生と、小池正夫「Cookie」編集長、堀弘幸先生(愛媛大学)の対談をお届けします。