2022年7月 第45号

非日常のハレの舞台でもある学会では、とかく色々なハプニングが起きがちです。身の回りで起きた出来ごとをネタに三日三晩語り尽くせる、という方々もたくさんいるのではないでしょうか。初めての発表で緊張し、一旦会場の外にでて練習していたら前のスピーカーにキャンセルが出てスケジュールが前倒しになり、戻ってみたらなぜか自分のスライドが映っていて会場にいない本人の代わりに「えーっとこれは確か、、、」とボスが発表していたとか、宿代ケチって公園で野宿していたらカバンごとポスターを盗まれて、仕方がないから模造紙を買ってきてサインペン片手に発表したとか、音信不通だった元カノがなぜか同じミーティングに来ていて、思いがけない恋のいたずらに歩きたいのよ高輪を実践してしまったとか、、、そんなウソのような本当の話を目の当たりにできるのも、学会の醍醐味です。

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My name is Antonios Apostolopoulos, I am a 3rd year PhD student at the Graduate School of Frontier Sciences at the University of Tokyo. I am studying at the RNA Systems Biochemistry Laboratory in RIKEN, under the supervision of Dr. Shintaro Iwasaki. This is a brief report about my participation at the 27th annual meeting of the RNA Society (RNA2022) which was held at the University of Colorado Boulder, in Colorado, USA. RNA2022 covered the whole spectrum of RNA-related studies and was one of the most highly anticipated conferences for me.

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 皆さま、お久しぶりです。標題が変わったのにお気づきでしょうか? 人は誰でも、いや生きとし生けるもの全て平等に、毎年1歳ずつ年を取る。私自身も粛々と、定年退職に向かって進むわけであり、さらに確実に人生の終焉に向かって歩んでいく。よって、このエッセーの表題も1年ずつ年を取った方が自然じゃないかなぁ〜ということです。さて、予定だった昨年の春に寄稿できず、1年に1回だった連載が、遅れていって2年に1回のペースになりつつある。1年が過ぎるのが速い〜と思っていない人は、本当にいるのだろうか? 「ジャネーの法則」を破っている人がいたら会ってみたいものだ。新型コロナウイルスのオミクロン株、さらにその変異株とやらが桁違いの感染を見せ、いまだに気分がスカッとしない今日この頃だが、例によって、雑談から始めるので気軽に読んでほしい。

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理化学研究所生命機能科学研究センターの伊藤拓宏です。この度の第12期評議員への選出は大変光栄であり、身の引き締まる思いです。日本RNA学会が学会員のみなさんの研究推進の一助となるべく、中川新会長の下で運営に携わってまいります。どうぞよろしくお願いします。

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はじめに

コロナ禍がまだ続いていて、心休まる時がない。感染力の強いオミクロンの変異株XEが登場してきたからだ。幸い、国民の8割近くが接種したメッセンジャーRNAワクチン (以後mRNAワクチンと略す) が、重症化を抑える効果があるので、他国に比べ、死者の発生は少なく、大事には至っていない。しかし、免疫力の低下している高齢者や基礎疾患のある人達は抗体価が低いので要注意であり、とりあえずは3回目の接種が必要であるとともに、必要であれば、4回目接種も勧めたい。

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東北大学加齢医学研究所の魏范研と申します。この度は、RNA学会から推薦をいただき、令和3年度日本学術振興会賞を受賞いたしましたので、ご報告いたします。鈴木勉会長をはじめ本賞にご推薦してくださった先生方、申請書類を取りまとめてくださった伊藤拓宏庶務幹事、申請に際してアドバイスをくださったすべての先生方に厚く御礼を申し上げます。受賞の対象であるRNA修飾と疾患に関する一連の研究は私個人の業績ではなく、私が東北大学に異動するまで約10年間在籍していた熊本大学生命科学研究部分子生理学教室を主宰する富澤一仁教授をはじめ分子生理学教室のメンバーならびに国内外の共同研究者の皆様方による成果であり、この場を借りて御礼申し上げます。

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前の話でカリコさんとの縁 (えにし) を紹介したが、その後、彼女は慶応医学賞を受賞することで、記念講演をすることになり、老生は講演の司会をされる中原先生や選考委員長の塩見先生からパネル座談会へ友人として入れてもらえることになった。本来なら、来日される時に、対面したいものと思っていたのだが、思わぬことから、講演前のZoomの演者控室へ入って彼女と話すことになった。彼女はドイツのBionTech社のオフィスから (だろう)、私は鎌倉の自宅の居間からだ。すでにメールで交信しているので、なんの遠慮もいらないので、もっぱら講演前のウォームアップの軽い会話に努めた。

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コロナパンデミックがデルタ株の息切れで、ようやく終わりに近づいたと思い、安堵しながら暮れと正月を迎えたのだが、オミクロンという新規変異株が上陸して、またまた、大変なことになってしまっている。幸い、本邦ではmRNAワクチンの接種率が80%にも達しているので、重症化は避けられるはずで、大事はないと楽観を決め込んでいる。そんな折、フェースブック (FB) を開けて、多くの受信へDeletionをかけていると、フト見覚えのある名前が目に入った、Katalin Karikoとある。「エッ、これは、もしやあの人?」と、驚いて、開けてみるとまさしくその人、世界的に超有名なカリコ博士 (以後カリコさん) だった。なにやら、私と交信したくて、メールアドレスを探しているようである。この稿の読者には、紹介の必要もないが、mRNAワクチンの功労者で、世界の大きな賞を総なめして、今年のノーベル賞も間違いないと評されている超有名女性科学者だ。資産数兆円になったベンチャーBionTech社の副社長でもある。高齢になっても、妙齢の女性から声をかけられるのは悪い気分ではないが、この人とフェースブック上でやり取りするのは気持ちが悪いので、プライベートなアドレスを、塩見先生から教えてもらって返信した。カリコさんが、今年度の慶応医学賞を受賞すると聞いていたから、塩見先生さんなら知っているだろうと思ったからであり、それは正解だった。

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