はじめに
コロナ禍がまだ続いていて、心休まる時がない。感染力の強いオミクロンの変異株XEが登場してきたからだ。幸い、国民の8割近くが接種したメッセンジャーRNAワクチン (以後mRNAワクチンと略す) が、重症化を抑える効果があるので、他国に比べ、死者の発生は少なく、大事には至っていない。しかし、免疫力の低下している高齢者や基礎疾患のある人達は抗体価が低いので要注意であり、とりあえずは3回目の接種が必要であるとともに、必要であれば、4回目接種も勧めたい。
さて、その4回目の接種も頼みにされるような、安全性も担保されたmRNAワクチンについて、これまでのエッセイの内容に新たな知見も加え、今一度おさらいしたい。mRNAワクチンとは、どのようにして作られてきたのだろうか?この稿では、そんな素朴な疑問について答えていきたいと思っているが、実のところ、mRNAワクチンには、筆者の若い時の研究成果 (キャップ構造の発見) が使われていて、それだけに思い入れが強いことをあらかじめ申し上げておきたい。
基礎研究の蓄積から
生体は、異物が侵入すると、防衛のために免疫反応を開始する。免疫には、即座に開始する自然免疫と、それだけでは手に負えない場合の抗体依存型の獲得免疫の2段階のシステムがある。mRNAワクチンはこの2段目のシステムを補助する。主な病原体として、ウイルスと細菌の場合があるが、ここでは例をコロナウイルスに絞って進めたい。
コロナウイルスは、直径100ナノメートルの粒子の中に、長い1本のゲノムRNAが入っていて、その頭に相当する5’末端にはキャップ構造があり、末尾の3’末端にはmRNAの特徴であるポリA配列がある。つまり、コロナウイルスのゲノムRNAは長いmRNAそのものであり、ウイルスの複製に必要な十数種のタンパクの情報が書きこまれている。例えば、5’末端にはRNAの合成に必要なRNA合成酵素やキャッピング合成酵素に関する情報があり、その下流にはウイルス粒子を作るための膜タンパクやスパイクタンパク (以後スパイクと略す) などの構造タンパクを作るための情報が並んでいる。ウイルス自身にはタンパク合成を行う能力はないが、ゲノムRNAは1枚の設計図に相当し、タンパク合成工場ともいうべき細胞質に持ち込まれると、種々のウイルスタンパクが、この設計図に従って作られる。そして、その次には、それらのタンパクが働いて、ゲノムやメッセンジャーRNAなど、子ウイルス構築に必要な、さらに多くのタンパク質をつくる。このようなプロセスを介して、ウイルス侵入の24時間後には、数百個の子ウイルスのコア粒子が、タンパクとゲノムRNAの凝集により作られて、スパイクタンパクが並ぶ細胞膜を被って細胞外へ飛び出すことになり、細胞は死ぬ (図1)。
図1. コロナウイルスの複製図
コロナウイルスは、図の左上から受容体を介して細胞内へ入り、子ウイルスのためのRNAやタンパクを作って複製作業を行う。完成した子ウイルスはスパイクが突き出た膜を被って、図の右上へ飛び出して細胞外へ広がる。
スパイクは、子ウイルスが標的細胞を選び感染する際に、ACE2という受容体タンパクと結合するために必須となる。---もしここで、スパイクに結合する抗体が血中内に存在すれば、ウイルスは、抗体に邪魔をされ、取り囲まれて無害となり排泄されるであろう。すなわち、スパイクに結合する中和抗体は最も優れた抗ウイルス薬であり、ウイルスを細胞の玄関口であるACE2に取り付けなくする。実際、mRNAワクチンでは、スパイクのあらゆる部位に対して数百種類もの抗体ができるので、変異ウイルスのスパイクに多少の変異があっても大きな問題はない。mRNAワクチンの有効成分は、図2に示すように、スパイクを作るmRNAそのものであり、ウイルスの他のタンパクに対する余計な抗体は作らない。
図2. コロナmRNAワクチンの主成分RNA
RNA鎖長が約4000ヌクレオチドの、シュウドウリジンを含む1本鎖RNAである
一方、例えば、中国製の不活化ワクチン・シノバックを予防的に接種したり、実際に、コロナウイルスに感染すると、ウイルスの全てのタンパクに対して (不要な) 抗体ができる。我々の抗体産生能力は限定的であるから (――特に、高齢者では低下している)、その能力をスパイクだけに絞って振り向けるmRNAワクチンは効率が良い。筆者の計算では、mRNAワクチンに含まれるスパイクmRNA (~5 μg) は、一回の筋肉注射で、約2兆本のmRNA分子を体内へ送り、約100兆個もの多くの抗原スパイク・タンパクを作ると想定できる。その結果、その他の方法では得られないような、多種類で、多くの分子の、抗スパイク抗体ができると考えられる。これらのことは、過去40年にわたる、分子生物学の研究成果の蓄積により見通され、現在のワクチンデザインが可能になったのであり、例えば、変異株のスパイクに対して効くタイプの新ワクチンも (作ろうとすれば) 数か月間のうちに大量製造ができるようになっている。
mRNAによる、医薬品の新産業革命のはじまり?
mRNAワクチンは、実際にウイルスを培養する必要がなく作れる利点があり、筋肉内注射により、筋肉細胞やリンパ球細胞に打ち込まれ、ウイルス・フリーで、自然な形のスパイクを細胞内で集中的に作らせる仕組みになっている。旧来の組み換えタンパク技術によって、スパイクを大腸菌の中などで作ってワクチンとする方法もあるが、そのような方法では、作られるタンパクの立体構造は(皆さんがよく経験するように)変性していることが多く、ワクチン効果は、mRNAワクチンの100分の1程度と低い。このように、新規mRNAワクチンはワクチンビジネスに産業革命を起こしたと言える。以下の項で述べるが、mRNAの製剤技術は、抗ウイルスの目的だけでなく、抗がんワクチンや遺伝病を含め、基礎疾患に対する治療薬へも応用できることから、その展開が将来に大きく期待されていて、当学会の課題でもある。
血中抗体や抗体産生細胞の減衰
抗体産生にかかわるB細胞は、複雑なプロセスを経て選ばれ、人それぞれで異なり、その結果として作られる抗体にも個体差がある。若い人ほど短時日 (~数日) で、目的とする抗体が多く作られ、抗体産生B細胞の数も多い。高齢者の場合はこの逆になる。このほか細胞増殖を抑えるタイプの抗がん剤などを服用しているがん患者は、同じ理由で、抗体産生量は低い。
加えて、血中の抗体数には減衰の問題もある。抗体の寿命は約1か月であり、壊れたり体外へ排出されたりする。使われない抗体は無用として判断され、生産されなくなり、その抗体を生産する細胞も複製されない。僅かのメモリー細胞を残して、スパイク蛋白を標的とする抗体産生細胞は減る。このためワクチン接種後、コロナウイルスを中和できる血中抗体数は、半年間で20%以下になる。このため、2回目、3回目のブースト接種はもちろん、あるいは、とかく合理的に物事を考えるイスラエルの人達のように4回目の接種も覚悟しなければならないと思われる。筆者は、ウイルスが「襲ってきている」ことを体に警告するスパイク蛋白やそのペプチドをマスクに浸み込ませてはどうかと思うのだが、如何なものであろうか?
他方、多数回の接種が可能になるためには、ワクチンが安全でなければならないが、幸い、mRNAワクチンは安全である―――もうすでに100億回以上も人間に接種されていて――大きな問題はでていない。2020年の初め頃、mRNAワクチンが初登場した頃、テレビでよく見かける老医学教授が、その原理がよく理解できないままに「この新規ワクチンは遺伝子関連だから、必ず未曽有の副反応が出る」と大反対されていられたが、現在は、スッカリ態度が変わって、3回目接種の旗振り役をやっていられる。幸い、ワクチン接種率は80%を超えて高くなったが、依然として、アンチワクチンのグループがいて、これらのグループの中から恒常的にウイルス感染が起こり、変異株ウイルス出現の温床となっている可能性がある。テレビを介した不用意な発言が、アンチワクチン活動をどれほど後押ししたのか推量できないが、言葉の責任は取ってもらいたいと思っている。
老教授の危惧に応えて―――核へ行かず、細胞質で働く、安全なmRNAワクチン
利根川博士らをはじめとする、免疫学の基礎研究から、抗体産生に関するメカニズムが理解され、特定のモノクローン抗体分子など、抗体タンパク質が優れた医薬品として利用できる時代になった。抗体医薬は細胞の外で働き、癌領域などで重要な一翼を担っている。一方、mRNAワクチンは、RNAを医薬品の新素材として登場してきた。その特性としてRNAは細胞質にとどまり、核内へは行かない。先の老教授は、このあたりのことを良く知らなかったのであろう。また、RNAの特質として、mRNAワクチンは短命であり、その点からも、核内のDNAへ被害を及ぼすことはない。mRNAワクチンはすでに百億回以上も接種されてきたが、そのRNAが核内DNAと交差し、癌細胞の創生など深刻な結果を引き起こしたというデータはいまだない。スパイク蛋白をコードするDNAワクチンも、複数の製薬会社により作られたが、DNAは必ず核へ行き、宿主DNAとの交差反応などを引き起こす可能性もあり (―――老教授の懸念は、これに相当する)。このこと以外に、アデノウイルスの粒子をDNAワクチン分子の運び屋として使わねばならない仕組みは、今回のコロナパンデミックのように新規変異体の跋扈に対して、接種を繰り返さねばならない事態には、粒子に対する抗原抗体副反応を強化するので勧められない。
mRNAワクチン実用化への、カリコ博士、ワイスマン教授の重要な発見
ペンシルバニア大学の研究員であったカリコ博士 (Katalin Kariko) は、1990年代から、mRNAを医薬品として使えないかと考えていた。この考えは、彼女だけではなく、筆者を含め、世界の多くの分子生物学者が持っていた願望でもあった。しかし、mRNAは、容易に細胞の中へ入らないうえに、消化酵素により分解されやすく不安定であること、リポソームのような脂質粒子に包んで細胞内へ入れたとしても、自然免疫により排除されることから、実現は不可能とされていた。実際、治療目的でmRNAを使って細胞を救済することは、現在でも難しいが、ワクチンとしてこの壁を打ち破ったのが、カリコ博士と彼女を支えたワイスマン教授 (Drew Weissman) である (図3)。その成功の端緒は、彼らの2005年の論文で示された実験にある。
図3. ワイスマン教授(左)とカリコ博士
二人は2022年度ノーベル生理医学賞の最有力候補である。(カリコ博士の許可を得て写真掲載)
カリコ博士らは、メチル化など化学修飾した塩基を含むmRNAのタンパク合成能力について調べ、mRNA中のウリジン残基を全てPseudo-uridine (Ψ) や1-methy-pseudo-uridine (N1mΨ) で置き換えたmRNAは、何故か自然免疫のチェックを潜り抜け、細胞内へ取り込まれても、 eIF2のリン酸化などによるタンパク合成の停止もなく、炎症反応も惹起せず、タンパク合成を進めることができることを発見した (図4)。
図4.自然免疫を避けるヌクレオシド
mRNAワクチンの合成に使われたウリジン誘導体。最右側のN1mΨが実際のワクチンには使われている。
彼らは、ΨあるいはN1mΨと、RNAの5'末端へキャップ構造 (m7GpppAm-) を付けたmRNAは、通常のmRNAより、はるかに効率良くタンパク合成を行うことも確認した (カリコ博士からの私信)。また、これは、それまで懸案であった自然免疫による「外部mRNAの無効化」の壁を乗り越える重要な発見であった。しかし、この発見をどのようにmRNAの医薬品化へ結びつけるかが次の問題であったが、これを「ワクチン製造へ応用した」のは、ワイスマン教授の判断だと察するが、最高の選択であったと筆者は思う。N1mΨを含むmRNAが自然免疫を避け得たとしても、多くの細胞へ均等に浸透して治療薬として働かせるわけにはいかない。しかし、ワクチンであれば、一部の細胞に (例えば筋肉細胞で) 少量のウイルスタンパクを作らせることができればー--それが局所で、小量であってもー--獲得免疫系の細胞群が始動し、B細胞を増やして中和抗体を大量に作らせたり、細胞性免疫を発動させるなど、効果を全身に拡大することができるからである。そのようなことで、カリコ博士とワイスマン教授の発見は、一般には目立たなく、多くの人の評価を得ることが出来なかったが、新しいタイプのワクチン「mRNAワクチン」を創ろうとする人たちの洞察力により、ワクチンへの応用が開始された。これは、実際にmRNAワクチンが登場する14年も前のことである。ちなみに、カリコ博士は、BioNTech社の副社長として、研究を続けているが、彼女が、筆者の昔の在ハンガリーの共同研究者の弟子であることがわかり、この縁を嬉しく思っている。
mRNAワクチンへ向けて、ベンチャー、試薬会社など研究開発体制の確立
2005年のカリコ博士らの発見から、外来のmRNAがΨを含めば、自然免疫を避けることが分かり、mRNAワクチンの開発が胎動し始めた。2008年、免疫学の研究者ザーヒン博士 (Ugur Sahin) をCEOとするBioNTech社がドイツに創設され、カリコ博士は乞われて副CEOに就任している。米国でも、2010年、mRNAを医薬化するベンチャーModerna社が創設され、優秀な若い研究者たちが集まった。また、これに期待する投資家からは、まだアイデアだけであるにもかかわらず、数千億円の研究費が投資されている。Modernaの米国流発音はモダーナだが、名前の最後の3文字はRNAを示していて、RNA医薬を目指す旗手としての姿勢は鮮明である。時を同じくして、TriLinK社 (米国サンディエゴ) などRNA医薬を支える試薬会社や受託研究会社がこの方面へ力を注ぎ始めていて、TriLinK社などは核酸化学の得意技術を生かしてRNAの酵素合成に必要なΨやN1mΨのトリリン酸試薬の品揃や、mRNAの頭に付けるキャップ・オリゴマーm7GpppNmpNの合成と商品化に成功している (図5)。
図5.mRNAワクチンの頭に付けられているキャップ構造
m7G-キャップの構造と役割についてはエッセイ第5話「mRNAキャップ生合成メカニズムと役割の解明」を参照されたい。
これらの話は、COVID-19が蔓延する10年以上も前のことであるが、将来を見据えた特許権益の確保など、この時期に大幅に行われたと思われる。その時点、筆者も含め日本では、これら米欧での研究動向に気が付かず、その結果、本邦からmRNAワクチン製造の動きもTriLinkのような試薬会社の誕生もなかったことは、誠に悔しいことである。BioNTech社もModerena社も、現在、資産数兆円の世界企業に成長している。当時、筆者は「ほくりく健康創造クラスター」の統括として、このような「基礎から応用へ、産業発展へ」を指導していたのであるが、海の彼方で、しかも筆者の発見内容を盛り込んで行われていたことには、悔しく、言葉もない。
mRNAワクチンへ盛り込まれたアイデアの数々
では、具体的に、mRNAワクチンはどのように作られるのであろうか?mRNAワクチンの本体は、1,273個のアミノ酸を含むスパイクをコードするシンプルな一本のmRNAそのものであるが、半世紀にも及ぶ分子生物学や免疫学の多くの成果がぎっしり詰まっており、免疫細胞を使って中和抗体を効率よく作らせるためのアイデアが凝らされている (図6)。
図6.mRNAワクチンの主要成分であるRNAの全体像
まず、スパイクの配列情報をプラスミドDNAへ移す。その際、DNA上で絵を描くように、適切に配列を組み入れ、あるいは取り換えて、mRNAに持たせるべき情報をDNA分子の上に書き込む。次に、そのようなDNAを増幅し、鋳型として、大腸菌ファージのDNA依存型RNAポリメラーゼを使って、試験管内 (あるいは大規模なタンク内) でRNAへ転写する。 DNA上に書き込むデザインとしては、(i) キャップは、mRNAの安定化とタンパク質合成に必須であることから、どのように付けるかの選定が重要、(ii) タンパク合成開始を決定するための、開始コドンを取り巻く最良の塩基配列をKozakルールに従い決定、(iii) アミノ酸コドンの最適化、(iv) mRNA全体、特に5'末端領域の2次構造を緩めること、(v) スパイク構造の安定性を考慮した2個のプロリン置換、(vi) 終止コドン後のRNA安定化AU-rich配列、などが検討される。多少、専門的過ぎるかもしれないが、要は、中和抗体を作るのに適したスパイクの大量製造に適したmRNAのデザインを凝らしており、すべて卓上の作業である。科学の最先端と製造工場を直結した新しい産業の形態というべきであろう。
mRNAワクチンの製造と精製と製剤化
mRNAワクチンの製造は、現場に入ったことはないが想像はつく。ファイザーワクチンの製造を模したレシピを紹介したい。精製したmRNAはLNP (lipid nano particle:コレステロールやポリエチレングリコールやカチオニック脂肪を含む) と混ぜ合わせて懸濁液化し、細胞内へ取り込まれる性質の製剤として、低温保存する (図7)。
図7.mRNAワクチン作成レシピ
この反応により、94%以上の分子にキャップのついた、Ψを含むRNAが約5 mgできる。不要になったDNAをDNaseで分解し、低分子ヌクレオチドを除去するなどして、最初の段階の精製を行う。さらに、反応中に生じた2本鎖RNAをHPLCカラムクロマトグラフィーで除去する。2本鎖RNAは自然免疫を誘発する原因になるため、この操作はmRNAワクチンの活性保持のためには非常に重要である。
mRNAワクチンの薬効評価並びに安全性について
このような方法で作られるmRNAワクチンは、BioNTech社やModerna社では、インフルエンザや蚊が媒介するZikaウイルスなど、有効なワクチンがない感染症に対して試されようとしていた。しかしながら、2020年に入ってから中国・武漢から新型コロナウイルスの出現が報告され、世界的なパンデミックの兆しが示された。そして、1月10日にはウイルスの全RNA配列が発表された。コロナウイルスについては、ヒト、動物に感染するゲノム情報が既にあり、この中国から配信された“人から人へ感染するコロナウイルス”のゲノム情報は、mRNAワクチンをデザインするには充分であったことから、わずか2日間で新型コロナウイルスに対するワクチンのデザインは卓上で終了し、45日間という記録的な短期間で、臨床治験用のワクチン製剤が作られた。折から、感染者の世界的急増もあり、11か月という短期間で臨床試験を終え、12月には医薬品承認申請を米国FDAや欧州EMEAへ提出するまでのスピード開発となった。旧来の方法によるワクチン製造であれば、5~10年の期間を要する作業が、僅か11か月で終了したのは驚きと言わざるを得ない。2005年のカリコ博士らによる論文発表以来、蓄積されていたmRNAワクチン技術が大活躍したのである。まさに“備えあれば憂いなし”であった。
さて、その効果はどうであろうか。本稿で紹介したmRNAワクチンとアデノウイルスをベクターとしたDNAワクチンとの比較では、図8に示すように、接種完了後の抗体誘導能力はmRNAワクチンが数十倍高いことが判る。また、先に述べた組み換えタンパクワクチンは、スパイクの中和抗体誘導に関して、DNAウイルスワクチンより10分の1ほども弱い。この効果の違いは、シノバックなどの不活化ウイルスワクチンを接種した場合さらに大きくなり、mRNAワクチンの優位性が強く示される。つまり、「mRNAワクチン>DNA ウイルスワクチン>組み換えタンパク・ワクチン>不活化ウイルス・ワクチン」の順にワクチンの優位性が評価される。この理由としては、非常に多くのスパイクmRNAが体内に送りこまれることで、他のワクチンに比較し、はるかに多くの自然型(configuration)のスパイクが作られ、それらが免疫細胞により感知された結果、他のシステムより多くの有効な抗体ができたと結論付けられる。加えて、スパイクに対する抗体価は、実際にウイルス感染した人の血中抗体価と比較しても、おおよそ100倍も高いというデータが示されている。今後、ワクチン産業に新技術が導入され、応用面の拡大を含め、新旧交代が起こると予想される (図8)。筆者は、弱い不活化ウイルスワクチン・シノバックで先陣を切った中国のコロナ感染対策が気になる。中国政府は、自身でmRNAワクチンを作るのであろうか、それともmRNAワクチンを輸入するであろうか、それともゼロ・コロナ都市封鎖戦略を続けるのであろうか。隣国であるがゆえに、気になるところである。安全性については、mRNAワクチンは、すでに数十億人へ接種され、さらに複数回接種される人が増える中、重篤な副反応により亡くなる被害者は極めて少なく、安全性は十分に確認されている。安全性と効能に関してリスクとベネフィットを考えると、ベネフィットの方へ軍配が上がることが明らかである。軽微な副反応がある場合の原因としては、RNAに起因するというよりは、mRNA分子を包んだ脂質粒子に含まれるポリエチレングリコールに対する抗体を持つ人が、抗原抗体反応による比較的軽い炎症反応が起したと想定されている。
図8.mRNAワクチンの秀でた中和抗体誘導能力
モデルナとファイザーワクチンは、図6に示すmRNAワクチン。ヤンセンワクチンはアデノウイルスをベクターとするDNAワクチンである。大阪大学宮坂昌之教授の紹介データから改変
おわりに
mRNAワクチン製造技術の発展によって、人類は、今後遭遇する様々な病原体に対して、恐れずに戦える強力な武器と自信を得ることができた。mRNAワクチンの臨床応用は、世界の全ての国を巻き込んだ壮大なものではあるものの、わずか2年間足らずの応用であり、いまだ最終結論を得たものではないかもしれないが、我々が知る分子生物学的や免疫学の観点からみると、最先端科学を担保にした、安全で副作用も少ない、理想的なワクチンであると思える。特に、未知の新型ウイルスに対して、短時間で対処できるうえに、将来的には、がん治療などへも発展的に応用が可能であり、国防上も非常に重要である。この国の根幹にかかわる技術として、是非、根付かせたい。しかしながら、主にネット世界からの、いわれのないフェイクニュースや、頑固にワクチン忌避を誘うデマ情報がある点が気がかりであり、今後とも科学的な観点からフェアな態度で、実態データに向かい合っていただきたいと思っている。
先日、日本国際賞の受賞のため来日したKariko博士とハンガリー大使館で催された祝賀会で会うことが出来て、とても嬉しかった。彼女は、これまでの、数々の晴れがましい授賞のせいか、オーラが出ていて、このエッセイの図3に示す表情とは比べ物にならないほどに素敵だった (図9)。飛び入りのお祝いスピーチのあと、私は言った。“Katalin, you did very well. As I feel you are my cute niece, I would love to give you a big hug” と言って、檀を降り、ハグをしたのだが、大きな彼女に両上手を取られて抱え込まれてしまい、残念だが、大叔父と姪の、理想の抱擁という様子にはならなかった(了)。
図9. 筆者とカタリン博士、ハンガリー大使館祝賀会にて
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