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詳細
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作成者:片岡 直行(東京大学 大学院農学生命科学研究科)
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はじめに
最近特に話題になっているmRNAワクチン。このmRNAにはキャップ構造がついていて、それが細胞内での翻訳には必須である。翻訳におけるキャップ構造の重要性は言うまでもない。古市先生による会報での素晴らしい連載により、日本RNA学会の会員の方々には、キャップ構造がどのようにして発見され、いかに重要かが伝わっていることと思う。今キャップ構造が再び注目されているこの時を、キャップ構造について大学院時代に研究をしてきた自分にとっては、大変嬉しく思う。その反面、キャップ構造は核内でも重要だということをみなさんはご存知だろうか、eIF4E以外に、NCBP1、2と現在データベース上で言われているキャップ結合タンパク質の存在をご存知だろうか、と思う時がある。会報を編集されている富山大学の甲斐田さんにお話ししたところ、許可をいただいたので、私が大学院時代に経験した、核内キャップ構造結合タンパク質精製への道のりを書かせていただくことにした。多くの会員の方は、核内キャップ構造結合タンパク質を精製、報告した二つの研究室のうち一つは日本の研究室だということをご存知ないかもしれない。そのことを知っていただくとともに、私がここから得た教訓を、特に若い会員の皆さんにお伝えできれば、と思う。
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