2016年07月 第34号

RNA研究にまつわる発見エピソードを、いくつかお話したいと思う。

それらは、故野本明男さんが総括をされていた“さきがけRNAと生体機能”の折々の懇親会などで、アドバイザーだった老生が、塾生の皆さんに問われ語りに思い出を話したことなどである。そのどれもが、1970〜80年代に、ニューヨーク・ボストンエリアで頻発したメッセンジャーRNA(mRNA)の基本構造に関する新発見の思い出である。その当時ロシュ分子生物学研究所(NJ州)のAaron Shatkinの研究室へ留学し、mRNAのメチレーションやキャッピング(Capping)について研究していた私は、その多くに共同研究で関わっていたり、手を貸していたりして、発見者やその友人たちと、驚きや感動を共に喜ぶことができた。

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暑い夏。プールでひとしきり泳いだあと冷房のきいたリアシートに身体を沈める。だるさと火照りと冷気が相まってなんとも心地よい。——RNA2016の最終イベントであるダンスパーティーが終わり、戻ったホテルの部屋に入った瞬間、そんな記憶がふとよみがえった。長らくの緊張でこわばったままの身体と神経に、お疲れ様、もうリラックスしてもいいよ、と伝える。すると、ためらいなく、素直に徐々にひとつひとつの細胞が弛緩しはじめる。子どもの頃読んだ物語に、大きな木の周りをぐるぐる回ってバターになったトラがいたっけ。そして、確かパンケーキになって主人公に食べられてしまった。そんなこともふと、憶いだされた。幸いにも、私の目の前には空調でちょうどよい具合にひんやり冷えた、上質なベッドがあり、そこに倒れこむことによって完全融解は阻止される。

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メインホールの席に着いて、あれからもう5年が経ったのか、と多くの方が思われたのではないでしょうか。その年の3月11日にたいへんなことが起きましたが、海外から多数の参加者を迎えることができ、大好評のうちに閉幕したという印象が残っています。京都国際会議場を訪れるのは、それ以来でした。机が使える椅子の列と、椅子のみが並ぶ列が交互に配置された1階席に座り、そうそう、こんな席だったなと思い出しました。

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 昨年のRNA学会参加時は東京大学工学系研究科鈴木研究室に所属していました、趙雪薇です。現在はアメリカのボストンにあるTufts大学にてエキソソームや合成ナノ粒子を使ったドラッグデリバリーシステム(DDS)の研究を行っています。昨年のRNA学会にてありがたく青葉賞をいただき、今年の5月にオランダのロッテルダムにて開催されたInternational Society for Extracellular Vesicles (ISEV)年会に参加して来ましたのでご報告させていただきます。

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RNAフロンティアミーティングは、RNA研究者の交流による新しい学問領域の開拓、および、将来のRNA研究を担う若い人材の育成を目的とした会です。若手研究者や大学院生を中心に口頭発表および討論の機会を設け、さらには研究者間の交流や親睦をはかることを理念としています。

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北海道大学・遺伝子病研究所・RNA生体機能分野の二宮賢介と申します。この度、RNAフロンティアミーティング2016(ニセコ)の世話人を同研究室の山崎とつとめさせていただきます。

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東京に移ってくる前の約9年間、私は徳島に居ました。娘は小学3年生までここで育ちました。海もあり、山も河もあり、とても住みよいところでした。蓮根畑やイモ畑が広がり、大きな公園があちこちにあり、BBQをどこでやっても怒られない、おおらかな、そして、夏には自転車で海水浴に行ける、しかも、阿波おどりがある、小さな子供を育てるにはとても良い街です。また、始めて出会ったにもかかわらず既に十年来近所付き合いをしてきたかのような話し方をする人が多くて、むしろ、最初、戸惑ったほどです。言葉にもなかなか味わい深いものがあります。たとえば、魚の幼児言葉は、ビンビ。また、漏れる、溢れるをマケルと言います。子供が「おしっこもれそう!」という場合、「おしっこマケル!」とか言います。また、ご飯などが碗にあふれこぼれそうなほど‘山盛り’の場合、マケマケと言います。

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