<走馬灯の逆廻しエッセイ> 第27話「コロナウイルス防衛に働く免疫システム」
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- 作成者:古市 泰宏
病原体など異物が侵入すると、生体は防衛のために免疫反応を開始する。免疫には、即座に開始する自然免疫と、自然免疫だけで手に負えない場合に出動する獲得免疫の2種類のシステムがある。病原体としてはウイルスと細菌の場合があるが、ここではウイルスに絞りたい。細胞が緊急の自然免疫システムによりウイルスを排除しようとする際に分泌する物質のなかにインターフェロンというタンパク質がある。インターフェロンは、高等生物が選んだ最高の抗ウイルス戦士といえる。インターフェロンは、どんなウイルスに対しても、戦う。特に、コロナウイルスやインフルエンザウイルスの様なRNAウイルスと戦うのを得意とする。しかしながら、直接ウイルスと格闘して戦うわけではない。インターフェロンは、小さなタンパクだが、ウイルスが細胞へ侵入すると、① 細胞内で作られて、② 周囲の細胞に働きかけ、「ウイルスが来た」ことを知らせる、③ 次に、「侵入したウイルスを増殖させないために、蛋白合成など細胞の重要な機能を止め」(そのことで細胞自身は死ぬがーー) その後、④「そのような、ウイルスに感染された異常な (自分を含めた) 細胞を貪食して掃除するよう種々の免疫細胞を誘導する」という、誠に、けなげに、多くの働きをするのである。「えっ、漫画みたい、ウソでしょうーー」などと、言わないで欲しい。