この度、日本RNA学会からの推薦を受けて、令和2年度「科学技術分野の文部科学大臣表彰 若手科学者賞」を受賞することができました。受賞題目は「小分子非コードRNAによる遺伝子発現制御システムの研究」で、数千から数万という配列種の小分子RNAがゲノム中に多数存在する標的遺伝子を制御するメカニズムや、小分子RNAがエピジェネティック因子として働く新たなメカニズムに関する研究によるものです。本研究を進めていくうえで、塩見さんと美喜子さん、学生時代の恩師である金井さんと冨田勝さんをはじめとして、沢山の方々に多大なサポートを頂きました。この場をお借りして、みなさまにお礼を申し上げたいと思います。

これまでの研究内容やそれにまつわる話については、少し前に、「あいみっく」という雑誌の研究紹介リレー「この人この研究」(https://www.imic.or.jp/member/files/2018/07/2ceceee4619eb4e9eef97f0f2e427d97-1.pdf) という記事で執筆させて頂く機会がありましたので、今回は受賞の経緯について書いていきたいと思います。

実は若手科学者賞に応募しようという決意をしたのは、去年のRNA学会の年会の懇親会でした。懇親会直前の総会で、今年の候補者がまだいないので締め切りは過ぎているけど受け付けますというアナウンスがありました。その後の懇親会で多田隈さんとお話していた際に、ふとしたきっかけで「出してみれば?」と言って頂いたことがきっかけになりました。締め切りまで1週間というギリギリのタイミングであったということもあり、懇親会会場で推薦書執筆を依頼してまわるというバタバタっぷりでした。それにも関わらず、執筆していただいた推薦書は「何かにくじけそうになった時にこれを見て頑張ろう」と思えるような素敵なもので、とても嬉しかったです。鈴木会長と評議委員のみなさま、庶務幹事の伊藤さんには締め切り直前であったにも関わらず、誠にありがとうござました。

上のような経緯で応募したということもあり、おそらく昨年の年会 (と懇親会) がなければ、私はこの賞を受賞することはなかったと言っても過言ではありません。思えば、年会ではこいうった「きっかけ」に出会う機会が沢山あるように思います。一昨年の年会では、池内さんと岩崎信太郎さんにRNAフロンティアミーティング2019の世話人やらない?と声をかけていただいたり、中川さんに分生ワークショップのオーガナイザー楽しいよ (とくに海外からゲスト呼ぶと良いよ)、というお話をしていただいたりしました。実際、去年はフロンティアミーティングや分生ワークショップ (& Tokyo RNA Club) のオーガナイザーを務めさせて頂き、非常に良い経験になりました。フロンティアミーティングとTokyo RNA ClubについてはRNA学会からも多大なサポートをいただきました、ありがとうございました。

そう思うと、昨今の状況下で、たくさんの人や様々なきっかけに出会える学会 (と懇親会) がオンライン化されてしまうというのはとても寂しいようにも思います。実際にオンラインで開催されるミーティングや領域会議にも参加してみて、参加のハードルも下がりますし、議論も盛り上がってとても良かったのですが、やはり踏み込んだ議論や今回挙げたような「きっかけ」が入り込む余地はなかなかなくて、どこかロスがあるような気がしてなりません。以前と同じというわけにはいかないのかもしれませんが、オンラインミーティングだけではなく、やはりある種の「密な」学会も再開できるようになることを期待しています。とくに来年のRNA学会年会は私にとっての思い出の地、鶴岡での開催ということなので、とても楽しみにしています!

4月に予定されていた若手科学者賞の表彰式は、やはり新型コロナウイルス感染症の影響で中止になってしまいました。表彰式がなくなってしまったことは非常に残念でしたが、たくさんの方からメールでお祝いのメッセージを頂いたり、オンライン領域会議でお祝いして頂いたり、冨田さんから智徳 (慶應大学先端生命研が共同開発した日本酒) が送られてきたりと、みなさまに遠隔でお祝いしていただいて、とても嬉しい受賞になりました。この受賞を励みに、今後とも良い研究ができるように精進していきたいと思います。

 


写真1:大学院生時代に参加した分生での集合写真


写真2:2019年慶應塩見研ラボメンバーとの集合写真 (2020年版は未だに撮影できず..)