ーーーこの発見は、M. Frommer (豪)、R. Shapiro (米)、H. Hayatsu (日)の3人によってなされたーーー
DNAのメチル化とエピジェネティックス
次世代DNAシークエンサーとコンピューターの進歩により、ゲノムDNAを読み取る技術が飛躍的に向上し、個人のゲノム情報が、安価にかつ短時間のうちに解明され、個の医療へ役立てる時代になった。親から授かった、先天的なゲノム配列の解読は大事だが、特定する遺伝子の働きが、どのように制御されているかを知るためには、遺伝子のスイッチ役であるエピゲノムの情報 (―――後天的な遺伝子制御を意味するーーー) がさらに必要である。エピゲノム制御は、DNAの特定な部位でのメチル化により行われる。実際、高等生物のDNAのなかには微量の5-メチルシトシン (m5C) ならびにその水和物5-ヒドロキシメチルシトシンが含まれていて、遺伝子の上流部位において遺伝子の発現を制御していることがわかっている。したがって、DNA配列中の何処にm5Cがあるかを知ることは、ゲノム医科学や医療診断の分野においても、非常に重要になってきた。
図1.シトシンやシトシン誘導体の構造
メチル化の重要性
もう少しくだいて説明すると、遺伝子には、5'上流にプロモーターという領域があり、下流の遺伝子を発現するかどうか (――使うかどうか、あるいは、どの程度使うか) は、このプロモーターとヒストンタンパクが決めている。では、プロモーターはこの作業をどの様にして作動しているのだろうか。その指示プロセスには、メチル基がからんでいる。プロモーターのDNA配列は、転写初期因子と結合し、RNAポリメラーゼIIを呼び寄せ、メッセンジャーRNA合成のスタート台をつくる。このあと、RNAポリメラーゼは、メッセンジャーRNAの頭にキャップという、―――昔、筆者が発見したm7GpppNm―――という帽子のような構造をつけたうえで、RNAの鎖を伸ばしてゆき、メッセンジャーRNA (mRNA) の前駆体ができあがる。キャップには通常2個のメチル基が使われていて、それぞれ役割がある。何故か、この惑星の高等生物はDNAやRNA制御の小道具としてメチル基を使っているのだ。「メチル化の世界」を研究すると、まだまだ、面白いことが出てきそうである。
遺伝子発現と5-メチルシトシン
では、そのメチル基はDNAの何処に入っているのだろうか?答えは、DNAを構成する4種の塩基、アデニン (A)、シトシン (C)、グアニン (G)、チミン (T) のうちの、Cへのメチル化であり、CpGの配列中のシトシン塩基の5位にメチル基が1個入り、5-メチルシトシン(m5C)となる (図1)。細胞中には、シトシンをメチル化するメチルトランスフェラーゼという酵素があって、細胞が複製する時には、DNAの複製の際に正確に特定の部位のCpGへメチル基を加えるから不思議である。そして、そのようにして、親細胞から娘細胞へと、プロモーター中のm5Cは正確に伝わる。実際、筋肉を必要としない脳細胞中では、筋肉に必要なミオシンなどの遺伝子のプロモーターにはm5Cがあって働かないようになっていて、その一方、脳に必要なタンパクを作る遺伝子のプロモーターにはm5Cはない。このように、メチル化の程度により、その遺伝子が働くか否かが巧妙に調節されていて、メチル基 (CH3-) は、たかだか分子量が15ダルトンの小さな化合物なのだが、重要な役割を果たしている。現代の生物学はエピジェネティックスの時代に入り、病気の発症原因を調べたり、細胞の癌化を含む分化のメカニズムを知るためには、ゲノムDNAの配列解析にとどまらず、全ての遺伝子についてメチル化の情報を知ることが重要になっている。
CをUに変えるバイサルファイト反応の発見
さて、DNA中のm5Cの場所を調べる唯一の方法としてバイサルファイト法という方法あるが、この方法が日・米・豪の研究者のリレーにより作られたことを知る人は少ないので、このエッセイで紹介したい。バイサルファイトというのは亜硫酸のことであり、写真の現像などに使われる試薬だ。ツンとくる刺激臭があり還元作用が強い。以前には、食品添加物として使われた時代があった。実はバイサルファイト法の元になる化学反応は、1970年、日米の二人の若い研究者によって発見され、互いに知らないまま、J Am Chem Soc.という有名な化学雑誌上に発表された99,100。今にして思うと、これは奇遇としか言いようがない。一人は、ニューヨーク大学のロバートShapiro博士であり、他の一人は、東京大学薬学部の早津彦弥博士である。二人は、まさか、後年、その反応がDNA上のm5Cを検出するのに使われるとは露にも思っていなかった。
えっ、何故そう断言するかって? これも、なんとも奇遇なのだが、実は、筆者は、当時、まだ20代の大学院生 (D3) で、早津博士がその反応を発見した時には、同じ研究室内の隣のベンチで、オリゴヌクレオチドの合成とそれを使ったtRNAの研究をやっていて、早津先輩の実験を最も近くで見ていたのである。このころ、早津博士は米国ゴービンKhorana博士 (遺伝子コドンの発見で1968年ノーベル医学・生理学賞受賞) の研究室で2年間の留学を終え、准教授として、出身研究室である衛生裁判化学教室 (浮田忠之進教授) へ戻り、亜硫酸など、汚染した空気や水に含まれる種々の環境変異原と、遺伝子核酸の成分であるヌクレオチドとの反応について、研究をスタートしていて意気軒高だった。筆者は、なかなか良いデータが出ないまま、隣の早津先輩から辛口で発破をかけられ続けで、小さくなっていた頃である。浮田研究室では、核酸化学を旗印に、主に、tRNAへの化学修飾を行い、tRNAの構造と機能に関する研究を行っていたが、早津博士は変異原物質によるDNAの化学修飾とそれによる生物の遺伝子変異に興味があった (写真1)。
写真1.実験中の早津博士 (1990年頃)
早津博士が、ヌクレオチドの溶液へ高濃度の亜硫酸ソーダ(Na2SO3とNaHSO3の混合物、~2 M溶液)を加えると、CやUなどのピリミジン塩基に限り核酸特有のUV (紫外線) 吸収能力が消失することを見出した。これはバイサルファイト (-SO3)がピリミジン塩基の6位に結合するため、芳香族環の電子共鳴が崩れた結果であり、最初の重要な発見だった。次に、この状態のピリミジン-SO3復合体をアルカリ性にすると、-SO3が抜けて、UV吸収能が戻ることが判った。この時、UはUへ戻るが、早津博士は、Cは脱アミノ化されUに変換されていることを発見した。図2に示す反応である。これは、思いがけない大きな発見だった。早津博士は、この結果を手早く論文にまとめ、J Am Chem Soc.誌へ送った。この雑誌は生物学分野のScience誌に似たようなところがありレベルの高い雑誌である。論文は、採択されたが、しかし、何という偶然だろう、先にも述べたが、この雑誌に (しかもほぼ同時に!)、ニューヨーク大のShapiro博士が全く同じ発見を報告していたのである99,100。
図2.シトシンとウラシルへのバイサルファイト反応
シトシン (1) は、バイサルファイトの6位への結合 (2) を介して脱アミノ化され (3)、アルカリ処理後ウラシル (4) へ変換される。一方、ウラシル (あるいはチミン) は、これらの処理による構造変化はない。
このバイサルファイト反応は、一本鎖のDNAやRNAに働き、隣にいた筆者が合成していたUpAやCpAを、早津博士へ提供したところ、-SO3と反応し、期待どうりの結果を出し、U*pAやC*pA (*は-SO3を示す) となった。この論文の最後に、早津博士は、”This finding may be of considerable importance in the biology of nucleic acid” と締めくくっているが、実際、後年、それが真実となった。生物現象としても、λファージのDNAを亜硫酸ソーダ液で処理すると、C → Tへの変異によるものと思われる変異ウイルスが現れることから、亜硫酸が遺伝子変異を惹起する公害モデルとして、警鐘を鳴らすことにもなった。
つばぜり合いの研究競争:シャピロ(NY大)vs 早津(東大薬)
先に、この発見の発表論文はほぼ同時にJ Am Chem Soc.に掲載されたと書いたが、正確には、シャピロ博士の論文は1970年の1月28日版に、早津博士のそれは2週間遅れの2月11日の版に載っていて、ふたりの先陣争いは、ほんとに際どい。この時点、シャピロ博士は34歳、早津博士は35歳であり、お互いに全く知らない二人であった。現代であれば、メールで交信して、発見を共に喜び合うのであろうが、そんな余裕はないようであった。二人の胸中を察するに、シャピロ博士とすれば、研究での後進国と思っていた日本から、自身の発見と同じ報告が出て来たことに心外であったかもしれない。早津博士にしても「NY大を相手に、これは大変なことになった」と慌てることとなったと思われる。当然、厳しい研究競争が避けられない事態となった。後に、この年の発表論文を追ってみると、ニューヨークと東京から、1970年だけでそれぞれ4報、合計8報、の論文が発表されている(図3)。内容は、双方ともよく似ていて、
(1) バイサルファイト反応のメカニズムの詳細、
(2) 亜硫酸が変異源として危険であり、実際、ウイルスや微生物に遺伝子変異を誘起することの確認、
(3) 一本鎖のRNAにもバイサルファイト反応が起ることから、転移RNAやタンパク合成などへの悪影響を証明するーーーなどである。
この後でも、シャピロ (NY大) vs 早津 (東大薬) の研究競争は続くのだが、早津博士のようなエネルギッシュで、かつ統率力のあるリーダーでなければ、この研究競争で勝つことはできなかったと思われる。後年、早津教授が本邦の変異源研究の総帥として、国際変異源シンポジュームを静岡市で開催された源流をたどればこの反応の発見にまで、辿り着くと思われる。
図3.シャピロ博士と早津博士により1970年の1年間に発表されたバイサルファイト法に関する論文
さて、かくいう筆者も、早津陣営の助っ人として、この研究競争に参加しているので、一言加えたい。筆者は、さいわい、博士課程を無事修了し、就職先の静岡県三島市にある国立遺伝学研究所で三浦謹一郎先生と一緒に分子遺伝部を新設するべく、その設営や、引っ越し作業などでーーー忙しくしていたのだがーーー、早津先輩から「古市君、やってみない?」と声をかけられると、バイサルファイト反応の魅力に引かれて、ついつい、お誘いに乗ってしまい、tRNAの化学修飾への応用を試して見ることにした。精製したチロシンtRNAへ、バイサルファイトを仕掛けると、アンチコドンの5’側に隣接するウラシルへ選択的に入ることが判った。そして、そのような、-SO3が付いたtRNAの活性を調べると、アミノ酸を搭載する能力は変わらないが、コドンを認識してリボソームと結合する能力は減衰していることが判った。放射性の35Sが入ったNaHSO3を使ってチロシンtRNAをラベルすると、50%の放射性SO3はかのウラシルに入るのだが、残りの50%は何処へ行ったか分からなかった。そこで、遺伝学研究所へ移ってからも、一緒に来てくれた綿矢有佑君とtRNAをT1リボヌクレアーゼで分解し、生じるオリゴヌクレオチドをDEAEカラムクロマトグラフィーで調べると、何と、アンチコドンの3’側に隣接する、イソペンテニルアデノシン(N6–iA)という珍しいプリン塩基中の不飽和結合へ入ることを発見した (図4)。さて、そのN6–iAに入ったSO3は、ウラシルと違い、アルカリ性にしても外れないようであった。このN6–iAは、その2年前 (1968年) に西村暹先生 (国立がんセンター) が同定されたばかりの稀少塩基であり、のちに、植物の成長ホルモンとして知られる化合物である。したがって環境変異原というと、人への影響を考えたくなるのであるが、亜硫酸は、DNAだけではなく植物ホルモンへも悪さをして、農業へも被害を与えそうな悪役であることが判った。そんなことで、この仕事は、1970年の早津チームの第4番目の論文として「バイサルファイト反応のtRNAへの応用」と題打って、論文を発表した。後年、早津博士と一緒に岡山へ行き、後に、岡山大学 (薬) の名誉教授として退官した綿矢博士も、当然、この論文の著者として入っている。
図4.イソペンテニルアデノシンの構造
西村 暹 博士 (国立がんセンター) らが発見・同定
Biochem. Biophys. Res. Commun. (1968)
5-メチルシトシン (m5C) へのバイサルファイト反応
しかし、ここで気になる5-メチルシトシン (m5C) への影響はどうであろうか?この時点、Shapiro博士も早津博士も、m5Cへは、突っ込みが甘い。それは、ひとえに、この当時、m5Cの重要性が全く判っていなかったからであろう。ただ、早津博士は、次の論文のBiochemistry誌では、m5Cはバイサルファイト反応の後に、最終的にはチミンに変換されると結論している101、ーーーこの結論は間違いではないが、それでは、Cと同じ運命になるので、m5Cの検出にはつながらない。ただ、m5C → チミンへの変換は、シトシンに比べて反応が遅いというニューアンスを論文上で残していて、ーーー実はそのことが、後世の読者へ、引き続く発見への余裕を残していてーーー良かったと思えるのである。とはいえ、この問題が解決するには、PCRの発明やDNA解読の技術の完成のために要した20年に近い歳月と、オーストラリア人研究者マリアンFrommer博士の登場を待たねばならない。
マリアンFrommer
マリアンFrommer博士は、オーストラリア・シドニーのCSIRO研究所 (Division of Biomolecular Engineering, Laboratory for Molecular Biology:日本の理研のような研究機関) の研究者だった。マリアンの興味はプロモーターDNA中のメチル化の位置が、親から子へ正確に引き継がれてゆくメカニズムや、それが細胞分化や、癌の発生へと及ぼす影響を調べることである。1987年、小さいながら独立した研究室 (自身と助手) を持つことになった彼女は、6か月間、米国ウイスコンシン・マディソン大へ、ES細胞の培養に関する技術を勉強するため、短期留学にでかける。その間、助手のルイーズMcDonaldには、m5Cを調べるために、化学反応に基づくDNA塩基配列法 (Church & Gilbert 法) を練習しておくようにと言い残してゆくのだが、これはうまくゆかなかった。一方、留学先のマディソンでは、普及し始めたPCR法により微量のDNAを数万倍にも増幅する技術を学ぶことができた。ーーーPCRの発見については、このエッセイシリーズの第9話“PCRの発見”で紹介しているので参照されたい。
1988年、マリアンが、シドニーのCSIRO研究所へ戻って、m5Cを含むDNAをPCRを使って増幅できないものかと悩んでいるうち、この悩みは、同じ研究所の同僚であるピーターMolloy博士へ伝わった。そして、ピーターから、20年近く前の、ShapiroとHayatsuによるバイサルファイト反応の論文について知らされることになるのである。マリアンとルイーズは、早速シトシンのバイサルファイト法にとり組み、まずC → Uの変換を確認し、次には、m5CがCと区別できる反応条件―――すなわち、チミン (T) に変換されない反応条件を探すことに取り掛かるのである。m5Cについては、ShapiroもHayatsuも、はっきりとは言っていなかったが、バイサルファイトによる脱アミノ反応 (deamination) が遅い印象を報告していた。マリアン達は、色々試行したあげく、DNAを一本鎖に開いたのちに、3.1 Mの亜硫酸ソーダ溶液中で、37度Cで、48時間処理すると、PCR後に、Cとm5Cを区別できる良好な結果を与える条件を見出すことができた。すなわち以下のような仕分けができる条件である。
C -------------→ U ----------- (PCR増幅後) --------→ T
5-Me-C -------→ 5-Me-C ---- (PCR増幅後) --------→C
PCRについても、C → U変換の結果、DNAの塩基配列も変わるので、プライマーの配列も新たにデザインしなければならないが、これもうまくいった。さて、これらの問題を解決したうえで、メチレーションのパターンがわかっているM13やプラスミドDNAを使ってメチル化サイトを調べてみたところ、うまくゆくことが判った、ーーーついに、バイサルファイト法の完成であり、Shapiro とHayatsuが見つけた反応のDNA解析への応用である。
それらの結果を、喜び勇んでNature誌へ投稿したところ、すげないコメントーーーThis paper is not of immediate interest to a general reader--で拒絶だった。そのようなことで、この有名な方法は、結局、米国アカデミーのPNAS誌上で発表されることになったが、エピジェネティックス研究の興隆と共に論文のサイテーションはウナギ登りに増え、2005年593回、2009年1040回、2013年2137回という人気ぶりとなった102。つまり、それだけの数の論文がこの方法を使って発表されたということである。実際、DNA中のメチル化部位を探る方法は、このBisulfite DNA Sequencing以外に有力な方法はなく、このためのプロトコルや試薬が世界中に普及し、次世代DNAシークエンサーの利用と共に重宝されていて、今後益々、その重要性と利用頻度が増すものと思われる。
オーストラリアへ、発見エピソードの探索
筆者がバイサルファイト法の名前を、初めて聞いたのは、もう16年ほど前、東大医学部の遺伝子研究倫理委員会の席上だった。遺伝子実験を申請する研究者が、審査会で実験内容について説明しているなかで“DNA上のメチルの位置をバイサルファイト法で決定します”という説明があった。委員だった筆者は、先に述べたような早津教授 (岡山大学薬学部の教授になっていられた) の昔の論文に心当たりがあったので、質問した。
(委員) 「その、バイサルファイト法というのはーーーどのような?」
(研究者)「はい、バイサルファイトという試薬で、DNAを処理してから、シークエンサーにかけると、メチル化の場所が判るとのことです、もう有名です」
(委員) 「ほう、それはいいね。その方法は、もしかすると、本学の、この隣の建物で、薬学部で発見されたと思うのだが、何か知ってます?」
(研究者)「えっ、本当ですか。いえ、聞いてませんがーーー。ご興味がおありでしたら、調べて、後日お知らせします」(研究者から、その後、報告は無かった)
さて、ネットで調べると、キットの宣伝や原理が出てくるが、それを誰が、どうして発見したかについては全く書かれていない。そして、それを知る人は皆無であることがわかった。この稿では、バイサルファイト法という重要な技術が、時空と国境を越えて、米・日・豪の3人の若い研究者のリレーによる発見によって出来たことを紹介しているが、筆者は、幸いにも、発見の源流から応用までを知る数少ない一人であり、「バイサルファイト法発見の歴史を明らかにした」発掘者でもあることを自覚したので、このエッセイで取り上げることにした。
マリアンとは、一昨年、オーストラリア・アデレードへ行った際に、夫君共々、お会いして当時のことを詳しく伺った。明るい素敵な女性だった。夫君のジェームスも遺伝学者で、三島の遺伝研へ―ーー私が米国留学へでた後だがーーー木村資生先生の研究室へ留学していたことがあり、共通の友人や話題があって、大いに盛り上がった。そして、嬉しいことに、この出会いが仲介となって、マリアンと早津先輩のメール交信が始まった。
写真2.マリアンFrommer博士と筆者 (2017年アデレード駅にて)
会話の中で、私の興味は、彼女に的確なアドバイスを与えたピーターMolloy博士が、「どうして核酸化学の専門的な論文を知っていたのか」ということであった。それを質問したところ、バクテリアの遺伝子変異を研究していた同研究所のゲオフリーGrigg博士が、早津博士のλファージの変異に関するバイサルファイトの論文をMolloy研究室へ伝えていたことが事前にあったようである。そんなことから、CSIRO研究所はオーストラリアの唯一の公的研究所であるが、所内での情報共有が非常にうまくいっていることが偲ばれ、また、マリアンがこれらの情報提供者を含め、全員を、共同研究者として、1992年PNAS論文の著者に入れていることをほほえましく思った次第である。ニューヨーク大学のShapiro博士については、2011年に亡くなっていて、残念ながら、話を聞くことはできないが、少なくとも、米・日・豪の3つのグループにより、重要な研究方法の発見がなされたことを嬉しく思い、また一つ、日本から、オリジナリティーの高い発見が発信されていたことを、世界に自慢したい思いである。
エピローグ
バイサルファイト法は、このように、筆者にとっても思い出深いテーマである。しかし、その反応が、―――20年後に、PCRの発見をまってーーー、エピジェネティクス研究で、m5Cを検出する方法として広く世界で使われるとは、その当時は思いもよらないことであった。一方、筆者には、N6–iAが、バイサルファイトで化学修飾される現象も面白く、しばらくその発見に後ろ髪を引かれていたが、スッパリ思い直して、三浦先生や下遠野邦忠さんと一緒に、蚕CPVウイルスRNAの末端構造の解明へと、チャレンジの舵をきった。―――これは、CPVウイルスのmRNAがメチル化されることを発見する2年前、そして、キャップ構造の発見に至る4年前のことである。筆者が、N6–iA研究の魅力に取りつかれたままでいたなら、キャップの発見の幸運は来なかったかもしれない。
本稿の作成に当たりお世話になった岐阜大学・上野義仁先生、富山大学・甲斐田大輔先生へ感謝します。
<以上>
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