RNAフロンティアミーティングは,文部科学省新学術領域「ノンコーディングRNAネオタクソノミ」および「新生鎖の生物学」による後援を受け,RNA関連の研究を行う若手研究者と大学院生を中心に交流と親睦をはかることを目的としたミーティングです.今年は北海道のリゾート地ニセコで開催され,地元の北海道大学からはもちろん,東京大学・京都大学を始めとする全国各地の研究機関より数多くの関係者が集まりました.例年通り,今年も本州が猛暑に見舞われていたようで,避暑地の北海道を楽しみにしていたと道外の参加者が口を揃えました.しかし普段台風と縁遠い北海道ですが, なぜか今年だけ何度も上陸して,今回フロンティアミーティングの初日にも警報が発表され,一時はどうなるかと思っていましたが,無事予定通り開催されてほっとしました.

今回のRNAフロンティアミーティングは口頭発表のみで,31もの演題が7つのセッションに分けられ,3日間を渡って行われました.


写真1 初日会場の様子

一つのセッションで90分使い,一つのトピックについて集中的に発表が行われ,非常にテンポ良く濃密な時間を過ごすことができました(写真1).また各口頭発表の終了後に約5分の質疑応答タイムが設けられ,先生学生関係なく,自由討論が活発に行われました.特筆すべきは,今回各セッションの座長も大学院生が務めることになっており,若手中心を趣旨とするRNAフロンティアミーティングのポリシーをここでも窺えました.

私はRNAフロンティアミーティングに参加したのは今回が始めてで,専門分野が他の参加者と大きく異なることもあり,参加する前からかなり不安でした.いざ初日のセッションが始まると,なんとかnoncoding RNAやRNA polymeraseのような単語を聞き取れたものの,すぐさま専門用語の洪水に溺れてしまい,自分の心配が残念ながら的中しました.幸いなことに,席が隣だった東大の野田さんが親切に解説してくださって,そのおかげで,なんとか発表の概要を把握することができました(野田さんありがとう!).その一方,発表の内容が十分に理解できなくても,演者たちの堂々とした話し方やその洗練されたスライドから,今回RNAフロンティアミーティングのレベルの高さを実感させられる初日になりました.

二日目は朝からセッションで,PIWIタンパク質やCRISPR/Cas9などホットな話題が盛り込まれました.二日目ということなのか,みんなの緊張がほぐれ,議論がまた一段活発になったような気がしました.自分の発表もこのセッションに予定されていたので,みんなの熱気に便乗させてもらい,用意したプレゼンを無事終えることができました.出来はともかく,無事発表が終わってひとまず安心しました.

今回のRNAフロンティアミーティングは真面目な研究の議論だけでなく,充実したエクスカーションも大変魅力的で,なんと,二日目の午後は全て自由行動の時間になっていました.晩夏の北海道,夢のリゾート地,参加者の皆さんはそれぞれ憩いのひとときを過ごしていました.ちょっと足を伸ばして遠くまで散歩した方もいれば,ホテルの部屋で静かに過ごした方もいたそうです.私は他の十数人の参加者と一緒に,一番動きが激しいラフティングに参加して,冷たい川水を思う存分楽しんで参りました(写真2).


写真2 2日目のエクスカーション,ラフティングにて

夜は皆さんお待ちかねのバーベキューバイキングで,北海道名物のジンギスカンとビールを心ゆくまで美味しく頂きました.が,それだけで終わらないのが研究者という生きもの,バーベキューを終えても,またホテルに戻って2次会スタートです.日頃研究で鍛えた体力を遊びに使ったらこうなるのか,と改めて驚きました.フロンティアミーティングはここでピークを迎え,参加者の皆さんは先生学生に関係なく完全に打ち解け,会場は賑わいの熱気に包みこまれました.自分は体力が尽きて途中でリタイアしましたが,日付が変わるまで飲み会が続いたそうです.

発表数が多いためか,3日目も朝からきっちりセッションが組まれていました.演題はRNA修飾,筋萎縮性側鎖硬化症(ALS)と翻訳制御が中心でした.前日の夜あんなに盛り上がったのに,それを忘れさせるくらい真剣な発表と議論が繰り広げられました.その中でも特に,学生による質問数が初日二日目より増え,基礎的な質問が多かったですが,門外漢の私には大変嬉しいものでした.集中していると時間の流れが早く感じ,気づけば最後のセッションも終わりを告げた.ミーティングの最後で自分が発表賞に選ばれ,驚くとともに光栄な気持ちがいっぱいです(写真3).今回の賞を励みに,今後も研究に打ち込んでいきたいと思います.


写真3 受賞式. 貞廣さん(中),野瀬さん(左)と共に

今回のRNAフロンティアミーティングは,自分にとって忘れられない大変素敵な3日間でした.このような貴重な機会を設けて下さった先生方,世話人を務めた二宮さん,山崎さん,そしてスタッフの学生さん方にこの場を借りて御礼を申し上げます.