名古屋大学トランスフォーマティブ生命分子研究所東山研究室で研究員をしております、元村一基と申します。このたび、2016年6月28日から7月2日かけて京都で開催されました、"The 2016 joint annual meeting of the RNA Society and the RNA Society of Japan”に参加させていただきましたので、ミーティングの様子や、会期中の出来事をレポートさせていただきます。

参加にあたり

参加した目的は、最新のRNA関連研究の流行や技術を知り、それを自分の実験に取り入れることです。大学院生のころはRNAを専門として研究をしておりましたが、昨年学位を取得して研究員となって以降は異なるアプローチから研究を行っておりました。分野変えはスキルアップできる反面、勉強しなければならないことも多く、最新のRNA研究を追えていない現状に焦りを感じておりました。また、RNAの専門家達に自分の研究がどう映るのかも聞いてみたいと感じておりました。そんなとき、日本で国際RNAミーティングが開催されるということで、渡りに船とばかりに、参加登録をさせていただきました次第です。

ミーティングの様子

会場に入ったとき、最初に驚いたのは会場の広さと人の多さです。国際RNAミーティングには初参加であったため、規模の大きさと約1200人もの参加者に圧倒されました(図1)。また、発表のレベルの高さに加えて、日本の学会ではなかなか見られないほど活気のある質疑時間など、とても刺激的に発表を聞くことができました。


図1 ミーティングメインホール

本ミーティングは「5日間の会期期間、平均9時開始~23時終了」という、非常に濃密なスケジュールで行われました。いくつかのセッションは異なる部屋で平行して行われ、どちらの発表に行こうか迷うこともありました。注目した発表としては、私がイメージングを用いた研究をしていることもあり、近年酵母や培養細胞系で主流となってきたRNAイメージングなどに関する発表は、非常に参考になりました。私自身はポスターで発表させていただいたのですが、国内外の研究者から様々な視点で御意見をいただき、新しい研究アイデアを生み出すことができました。また、セッション間や、セッション中の休憩時間が長く設定されていたため、プレゼンの日だけでなく、後日Discussionする機会が自然と生まれた点も良かったと思います(図2)。


図2 セッション休憩時間

本ミーティングの特色として、特に若手研究者向けに幾つかの企画が設けられていました。例えばMentor-Mentee Lunch。これは1~2人のMentor (PIの先生)と5~6人のMentee (ポスドク・大学院生等)が集まって、ランチを食べながら就職先の探し方、予算の取り方など、一つの議題を話し合う行事です。普段、海外PIの先生と研究面以外で深く話し合う機会などありませんでしたので、彼らがどう考えてラボ運営をしているのか、ポスドク・学生についてどう思っているのかなど、深いお話を聞くことができ、自分の将来の参考になる貴重なお話を聞くことができました。他にもCareer Development Workshop、Junior Scientist Socialなど意欲的な企画が目白押しで、発表だけに限らず、企画も含めてとても面白いミーティングでした。

ミーティング外

本ミーティングのような大きな学会に出席すると、沢山の方々と出会うことができます。ポスドクにもなると他研究室の知り合いも多いため、沢山の友人たちと再開して、さながら同窓会の様相でした。また、その友人たちを通じて知り合った地元京都の方の案内で、穴場の店に行き、深夜まで語り合ったことは思い出深いです。Excursionの時間には海外勤務の方のつながりで、海外の方と京都観光をしたのですが、その方たちが感動する様を見て、日本の魅力を再発見することもできました(図3)。


図3 京都観光

ミーティングを終えて・謝辞

これだけ規模の大きなミーティングの運営には多大なご苦労があったかと思います。それでも単なる発表の羅列に終わらず、沢山の挑戦的な試みを企画してくださいました本ミーティングのオーガナイザー・事務局・運営の皆様、特に日頃より大変お世話になっております、塩見先生に心より感謝申し上げます。また、相馬様をはじめ、本ミーティング参加費支援対象に選んでいただきました専攻委員の先生方にも深く御礼申し上げます。皆様の御尽力のお陰で、研究面は勿論のこと、多くの出会いと経験に満ちた有意義な時間を過ごすことができました(図4・5)。


図4 学会最終日バンケット


図5 最終日ダンスホール