日本のRNA研究をエンタシスから考える
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- 作成者:廣瀬 哲郎(大阪大学)
大阪大学大学院生命機能研究科・廣瀬 哲郎
前回は、オリジナルな研究を生み出すための風土について書きました。日本人が自然を眺めた際に見えているものは、欧米の人たちとは少し違うかもしれない、その独特の感性をRNA研究に活かせないだろうか、と常々思っています。こういうオリジナルな研究がまだ萌芽的なステージにあるとき、それを目ざとく見定めてエンカレッジする周囲の風潮も非常に重要だと思います。欧米先導型のわかりやすい強烈な潮流にさらされつつも、それとは一味違う異端要素を育てていくことは簡単ではありません。そのためには、その自身の価値観への信念と誇りを伴った高潔な判断力が求められます。一方で、こうした価値観への過剰な誇り高さは、場合によっては滑稽な俗説を生み出してしまうこともあるようです。今回は、そのことを考えさせられた私のお気に入りのエピソードを2つ紹介します。