2014年9月16日(火)〜18日(木)にRNAフロンティアミーティング2014を開催しました。名古屋市立大学薬学部藤原研究室の深尾亜喜良 特任助教という強力なパートナーと共に、悪銭苦闘しながらも無事に「世話人」という重要な責務を果たすことができました。本年度のRNA学会総会でもご案内しましたが、今回のフロンティアミーティングの舞台は和歌山県南紀白浜でした。演題発表やディスカッションでフル稼働した頭を癒すには、最適な場所だったと思います。(少なくとも筆者は連日朝晩2回、温泉で癒されていました。)

今回のフロンティアミーティングについて簡単にまとめると・・・

参加者   :60名(北は北海道大学から南は熊本大学まで)
一般演題:27演題(うち英語での発表2名)
特別講演:浅原弘嗣教授(東京医科歯科大学)
後援:新学術領域研究「ノンコーディングRNAネオタクソノミ」
      :新学術領域研究「新生鎖の生物学」
協賛企業:5社(うち1社はランチョンセミナー開催)
ベストプレゼンテーション賞(MBL賞):3名(賞状と副賞を進呈)
旅費補助:11名

見ての通り、多くの皆さまに参加して頂きました。当初は「参加者が集まらないのでは」という一抹の不安もありましたが、日本RNA学会のメーリングリストを通じた呼びかけや(黒柳先生、お世話になりました)、藤原先生の人脈により一気に参加者が増え、結果的には非常に多くの参加者に集まって頂くことができました。ベストプレゼンテーション賞や旅費補助など、若手参加者に対して充実したサポートが実現できたのも、新学術領域や協賛企業の皆さまからのご支援の賜物です。

また、特別講演では浅原弘嗣教授をお招きし、留学時代を含めたこれまでの研究人生から最近の研究成果に至るまでご講演頂きました。留学の先輩である浅原先生の一言一言が、これから留学を考えている若手研究者の背中を押したことだと思います。ミーティング閉会の翌日に浅原先生から一通のメールが届きました。そこには一日で作られたとは思えない程のハイクオリティーな動画が添付されているではありませんか!筆者が所属している杉浦研のメンバーと共に鑑賞しましたが、あまりの完成度の高さに皆感動していました。この会報を通して動画をお見せできないのが非常に残念です。


特別講演(浅原弘嗣教授)


近大まぐろを堪能する先生方(左から佐藤豊さん、三島正規さん、近大まぐろさん、浅原弘嗣さん、深尾亜喜良さん )

なんと言っても、今回のミーティングの目玉の一つは「近大まぐろ」の解体ショーではないでしょうか。近畿大学(近大)は他では真似できないような水産技術をもっています。特に巷で話題になっている「近大まぐろ」は、世界初の完全養殖クロマグロとしてご存知の方も多いのではないでしょうか。そこで、近大の科学技術がどの程度進歩しているのかについて実際に体験していただく意味も含め、2日目の夕食に30 kg級の「近大まぐろ」をご用意しました。実際には、今回皆さまにご賞味頂いたのは、「ツナプリンセス」と名付けられた近大生まれ東洋冷蔵育ちのまぐろです。30 kgのうち可食部が20 kg以上はあるため、1人当たり300 g以上のまぐろが食べられるという計算になります。(深尾さんが1人で5 kgぐらい食べたかもしれませんが。)赤身、中落ち、中トロ、大トロ、全て刺身醤油で頂きましたが、同じまぐろとは思えない程違った味わいが楽しめました。ねっとりとした大トロは、醤油を弾くほど脂が乗っているのにしつこくなく、舌の上でとろけた後に口いっぱいにまぐろの風味が広がります。今回のRNAフロンティアミーティングに参加できなかった方にも、チャンスは残っています!この素晴らしい日本の食文化を科学技術で開拓した「近大まぐろ」は、東京・銀座と大阪・梅田の「近畿大学水産研究所」でご賞味頂けます。また、今後皆さんが学会等を主催される際に「マグロの解体ショー」をお考えであれば、私までお問い合わせ頂ければと思います。全国津々浦々、低予算で近大マグロが出張します!


まぐろの解体ショー(副題:まぐろに群がる研究者たち)


あわや自分が解体されていたかもしれないという恐怖に立ちすくむ深尾さん

折角ですので、筆者が冒した失態、不手際についても紹介したいと思います。

 

〈デジタル一眼レフを備えたカメラマンが2人もいるのに・・・〉

RNAフロンティアミーティングは若手を中心とした会ですので、初めて口頭発表をされる方も多いと思います。そこで、皆さんの思い出に綺麗な写真をと意気込み、2名のカメラマン(うち1名が筆者)を会場に配備し、カシャカシャと写真を1,000枚以上撮影しました。閉会式を終え、「我ながら良い写真が撮れたなぁ」と撮影した写真を見返していると、スタッフの一人から「集合写真はいつ撮るんですか?」と恐怖の指摘を受けました。そうです。今回のRNAフロンティアミーティングには集合写真がありません・・・。

〈さぁアドベンチャーワールドに行くぞ!・・・ってまさか・・・〉

例年のRNAフロンティアミーティングでは、半日程度の「自由交流」の時間を設けています。今回も2日目の昼から自由交流の時間を設定し、参加者同士の交流を深めながら南紀白浜を堪能してもらおうと計画していました。特に白浜ではアドベンチャーワールドが有名ですし、今回の要旨集の表紙にはパンダが近大マグロをくわえた姿が描かれています。それほどアドベンチャーワールドを全面に押し出していたにも関わらず、筆者は重大な落とし穴に気付いていませんでした。なんと、その日は休園日だったのです・・・楽しみにしていた方々、本当にすみませんでした・・・。


交流会風景(前列右から2番目が筆者)

今回のフロンティアミーティング一参加者としての感想ですが、発表の質が高かったことに驚いています。口頭発表が初めてという方もいらっしゃったようですが、とてもそのような印象は受けませんでした。多少緊張した様子はあるものの、「私の研究は面白いんだ!」と言わんばかりの迫力ある発表。身振り手振りを交えた堂々としたトークは、PI の先生が発表しているのではと錯覚するほどです(褒めすぎ?)。彼らが将来、日本のRNA研究の中核を担い、ひいては世界の生命科学研究分野で活躍する姿が容易に想像できました。今回のフロンティアミーティングが、彼らの経験値として蓄積され、彼らの人生を豊かにするための一つのステップとして貢献できたのであれば、これに勝る喜びはありません。

最後に、新学術領域(北海道大学 廣瀬哲郎教授、東北大学 稲田利文教授)、協賛企業、そして日本RNA学会のご後援、ご支援なくして、本ミーティングを開催することはできませんでした。このような貴重な経験をさせて頂いたこと、そしてご助力頂きました皆さまに感謝いたします。