自他共に認める「若手」研究者であったのはついこの間のような気がするのですが、最近学会関連のお手伝いをお願いされることが多くなってきました。先人達はこの手の仕事を文句一ついわず涼しい顔でこなしておられたのかと思うと、頭が下がる思いがします。微力ながら、私なりに少しでも今後の学会の発展に御協力できればと思います。よろしくお願いいたします。

さて、学会とは、もちろん関連研究者の自発的な集まりであり、主目的は年会などの研究発表の場を会員に提供し、その成果を広く世に伝えることなのでしょうが、いろんな学会に参加していると、学会の役目はそれだけではないということを痛感します。例えば、研究発表の終わった後などに、様々な分野の研究者と議論し、様々な視点から自分の研究テーマを見つめ直す機会を提供することも、学会の果たしている大事な役目の一つであるように思います。私などはそのために学会に参加しているようなもので、参加するたびに新たな刺激が得られるという点で、やはり研究に欠かせないものです(私自身の現在の研究テーマも本学会の年会参加中に思いついたものです)。学会がコミュニティである以上、設立から時間が経つほどに、ある意味で仲良しクラブ的な面が出てくることは避けがたいことだと思いますが、RNA学会が成功している理由の一つは、なれ合いで妥協してしまうことをよしとしない、健全な批判精神が機能しているからではないでしょうか。自分の所属している研究機関内部からはなかなか得難い批判が聞けるだけでも、その存在価値は十分にあろうかと思います。

RNA学会は、裾野の広い研究分野を対象としているにもかかわらず、大変質の高い研究が多いように感じています。この高いアクティビティを保ちながら、若手の育成を含む緩やかな新陳代謝をお手伝いするのが評議員の役目であり、これまでお世話になった学会への恩返しにもなるのではないかと思います。