第8期評議員に選出していただきました片岡直行です。
現在は京都大学医学研究科メディカルイノベーションセンターで特定准教授をしています。ポスドク1人、教務補佐員1人の3人ではありますが、研究グループを率いています。
京都大学理学部生物物理学教室の志村令郎先生の研究室で研究を始めて以来、一貫してmRNAのプロセシングに関する研究を進めてきました。mRNAは前駆体として転写され、その後切り貼りを経て産生される、その切り貼りの際につなぎかえのパターンがいろいろ起こる、ということを聞いてすごくワクワクしたものです。その「動的な」RNAに魅せられ、現在までRNA研究に携わってきました。
アメリカのペンシルバニア大学のDreyfuss教授の研究室でY14とEJCを発見したことで、高等真核生物においては、mRNAスプライシングと他の遺伝子発現諸過程とが緊密な連携を保っている、ということを考えるに至り、スプライシングとintronic miRNAの生合成機構の関連、スプライシング後のイントロンの代謝機構とDNA修復機構との連携、スプライシングとmRNA局在化機構との関連といった様々な連携について研究を進めてきました。
このようにmRNAのプロセシング過程は、細胞内において様々な連携を司っていますが、一度破綻をきたすとヒトでは疾患として現れるケースが数多くあります。現在は、筋ジストロフィーや家族性自律神経失調症といった、mRNAプロセシング異常に起因する様々な疾患について、その異常プロセシングのメカニズムとその治療法について研究を行っています。また、現在のメディカルイノベーションセンターでは、がんにおける異常スプライシングとその是正についての研究も行っており、骨髄異形成症候群や白血病、乳がんについて解析を行っています。
今回評議員に選んでいただいたことで、研究面はもちろんのこと、学会運営面についても、第6、7期庶務幹事をやらせていただいた経験を生かして、日本RNA学会に貢献していきたいと思います。よろしくお願いいたします。