奈良先端科学技術大学院大学RNA分子医科学研究室所属の清水雄治です。この度はTravel Fellowshipのご支援のもと、2024年6月26日から28日にかけて東京大学で開催された第25回日本RNA学会年会に参加してきました。以下、ミーティングレポートです。

>会場について
会場は東京都文京区の安田講堂で行われました (写真)。建物は非常に歴史を感じさせる荘厳な雰囲気で、口頭発表の会場は広々としており、数百人の参加者がいましたが、ぎゅうぎゅう詰めで座る場所がないということもなく、適度なスペースがあり、各発表に集中することができました。一方、ポスター会場は若干手狭ではありましたが、その分、発表者と聴衆との距離が近く、各ポスターで盛り上がった議論ができたことが嬉しかったです。

>発表について
本年会では、ノーベル賞受賞者のKatalin Kariko博士をはじめとする多くの海外招聘講演者による講演がありました。その中でも、私自身がマイクロRNA研究をしていることもあり、特にDavid Corey博士による核内でのRNAi反応についての講演が記憶に残っています。David博士の研究講演中では、単に研究結果だけでなく、自身の研究を楽しんでいる様子や、自身の研究の重要性に対する自信がとても伝わってきました。このように、普段論文を読むだけでは伝わってこない部分を感じることができ、とても良い機会になりました。
一般口頭発表では、転写〜スプライシング〜翻訳、ノンコーディングRNA、RNA構造、抗ウイルス機構、RNAテクノロジー、RNA治療など多岐にわたる分野の発表があり、RNA研究の幅の広さに驚くとともに、私もいつかはこのような口頭発表の場で成果を発表できるよう、より一層研究活動に励み、現在進めている研究のさらなる発展に努めようという気持ちになりました。
ポスター発表では、多くの未発表データや挑戦的テーマがあり、非常に楽しめました。私のポスターにも、マイクロRNA生合成遺伝子Droshaのアイソフォームについての研究というマニアックなトピックにもかかわらず、多くの方にお越しいただき、今まで気づかなかった視点での指摘や質問、応援コメントをいただけたことは、今後の研究の励みになっています。また、本年は各発表がアーカイブ化されたこともあり、発表時間が重なっていて見ることができなかったいくつかのポスターについても、年会後に確認することができ、とても良かったです。

>まとめ
本年会は、所属研究室での参加者が私一人だったため、参加前は不安なこともありましたが、たくさんの興味深い発表のおかげでその不安も忘れ、あっという間の3日間でした。また、本年会はノーベル賞受賞者を含む多数の海外招待講演や発表のアーカイブ化など、昨年の年会からの変化もあり、来年はどのような年会になるのか楽しみで、ぜひ次の年会にも参加したいと思っています。

最後に、このような素晴らしい年会を開催してくださったRNA学会の皆様、そして年会長に心より感謝いたします。