富山大学大学院・医学薬学教育部・遺伝情報制御学研究室D2の神尾凌哉と申します。この度は、RNAJ国内Travel Fellowshipsに採択していただきありがとうございました。私が日本RNA学会に参加したのは、京都で開催された第23回であり、続いて沖縄(第24回)、東京(第25回)と今回で3度目の参加となります。毎年RNA研究の進展を実感し、刺激を受け私自身のモチベーションとなっています。以下、第25回日本RNA学会年会への参加に関しまして、拙文ながらご報告させていただきます。
今回は東京大学 安田講堂での開催でしたが、なんといってもあの荘厳な雰囲気の中で行われたカタリン・カリコ博士による特別講演は印象に残っています。普段、mRNAにおける化学修飾とその修飾酵素に着目して研究しているということもあり、mRNAの発見から始まり、mRNAワクチンといったmRNAの医薬品への応用、ノーベル賞受賞に至るまでの歴史を聞くことができたのは貴重な経験となりました。また、改めてRNA研究の重要性というのを実感しました。
口頭発表やポスター発表についても興味深い発表が多く、年会開催前からプログラムを見てワクワクしておりました。特に本年会では、免疫応答に関わる発表が多い印象がありました。個人的にストレス応答や自然免疫応答に興味があったため、知見を深めることができたのは嬉しい限りでした。また、時間に限りがあり聞くことができなかった発表や再度聞きたいという発表についても本年会では発表アーカイブがあり、年会終了後も多様な分野の研究を楽しむことができました。今回、私はポスター発表をさせていただきました。私たちは、脊椎動物mRNAのm7Gキャップ構造に続く1塩基目特異的に存在するN6, 2′-O-dimethyladenosine (m6Am修飾) とその責任酵素PCIF1の機能解析を行っております。今回の発表では、その責任酵素とI型IFN応答の誘導に関して発表させていただきました。様々な分野の同世代の方や先生方にお越しいただき、それぞれの分野の専門の方々とのディスカッションは緊張感がありましたが楽しむことができ、かつ自身の研究を見つめなおす良い機会となりました。懇親会では、学生だけでなく普段話すことができないような先生方とも互いの研究に関しての議論やキャリアについて交流を深め、コミュニティを広げることができました。このような経験は実際に学会参加や発表することで得られる特典だと思いますので、まだ機会がない学生の方々にはぜひ勧めたいと思った次第です。その点で、本年会での学部学生の無料参加という取り組みは印象深く、これからのRNA研究を担う若手にとってはありがたかったのではないでしょうか。実際に私たちの研究室からも学部学生が参加させていただき、「もっと勉強したい」と、すっかりRNA研究にのめりこんだようです。
今回の学会でもRNA研究の盛り上がりを肌で感じ、たくさんの学びを得ることができました。私の所属する富山大学では、富山RNA倶楽部と呼ばれる研究交流会がありますが、今回の経験をこれからの研究の励みとし、北陸、そして富山でのRNA研究を盛り上げていきたいと思います。最後になりますが、このような機会をいただき、支援してくださった日本RNA学会の皆様に心より御礼申し上げます。