東京医科歯科大学 システム発生再生医学分野(浅原研)に所属しております博士研究員の内田雄太郎と申します。この度は2023年6月にシンガポールにて開催されました「RNA Society 2023」への参加を御支援いただき、心より感謝いたします。学会の様子等につきましてご報告させていただければと存じます。

学会はシンガポールの“Suntec Convention Center”という非常に大きな会場にて開催されました。学会場の隣にあるショッピングセンターにおいてはシンガポールのローカルフードを食べる事が可能なフードコートなどがあり、自分自身もカヤトーストやラクサなどといったローカルフードを、現地で知り合った外国の若手研究者とともに堪能しました。また、フリーの時間には初対面の若手研究者同士でシンガポールの街を一緒に歩き回り交流を深めることもできました。東南アジアに行く事自体が初めてだったので、シンガポールについてどんな場所なのか正直想像がつかず緊張していたところもありましたが、多様な民族の文化が入り混じる”Diversity”を象徴するような街並みが広がっていたように感じます。特に英語・中国語・マレー語・タミル語の4ヶ国語が公用語とされている背景もあり、地下鉄の掲示などがさまざまな言語で記載されていて、地元民同士では英語ではなく中国語やマレー語で話している様子がある様子は、全く日本では見られないような光景であり、非常に新鮮でした。

学会のOral SessionはSplicing, RNA binding protein, ncRNAなど多岐にわたっており、普段日本の学術集会ではそこまで馴染みがないタイプの演題も多くありました。自分自身はRNA binding proteinや自己免疫疾患・悪性腫瘍等を中心に研究をしていることもあり、STAMP法によるRNA結合タンパク質の結合部位の同定の改良や circular RNAによる治療介入などの演題が非常に興味深く感じました。またNanopore関連の演題も多かった印象で、Direct RNA sequencingを面白い形で活用することで解析するものも目立ちました。改めてこれからの解析でNanoporeが主役になってくるということを痛感し自分もぜひ今後研究に導入しなければという良い刺激になりました。国際学会に行くと、今どういった分野に世界のトップ研究者が注目しているのかを肌で感じる事ができ、普段とは違うタイプの刺激を得る事ができたように感じます。

 ポスターセッションもポスター数は二日間合わせて500以上の演題が集まる非常に大きなセッションとなりました。正直演題の数が多すぎて全てを見る余裕はありませんでしたが、ポスターのレベルが一つ一つとても高く勉強になりました。私自身は乳癌制御に重要なRNA結合タンパク質についてポスター発表をさせていただきました。多くの研究者が見にきてアドバイスをくださり非常に参考になりました。幸運なことにPoster Presentation Awardを受賞することもでき、実りの多い学会とする事ができました。

特にコロナ禍で自分が出ていた国際学会は全部オンラインだったこともあり、現地の国際学会が初となった今回の学会は多くの研究者とオンサイトで交流し多くのことを学ぶ事ができました。特にトップラボの若手の研究者がどのようことを考えているのかを直に触れる事ができたのはまたとない経験となったように感じます。今回の学会参加の経験を活かし今後の研究に向けてさらに視野を広げて邁進していければと存じます。学会参加に御支援いただけましたことに改めて御礼申し上げます。