京都工芸繊維大学 応用生物学専攻の平島智貴です。今回は箱根で9月に開催されたRNAフロンティアミーティング2018に参加しましたので、その報告を行いたいと思います。
参加するにあたって
前回比叡山で開催された本学会にも、1人で参加させていただきました。私の所属している研究室は、決してRNAのフィールドで有名な研究室ではありません。誰も知らないけれど、2泊3日も大丈夫だろうかと心配していましたが、これは良い意味で大きく裏切られました。質疑応答・研究発表・自由討論という名の飲み会!! (真剣に討論されていた方ごめんなさい) どれも非常に密度が濃く、充実した3日間を過ごす事が出来ました。前回のミーティングに参加した甲斐もあり、学部生の頃から行なっていた仕事を小さな形ではありますけど、まとめる事が出来ました (https://rdcu.be/bbTGf)。そこで、今年もフロンティアミーティングに参加すれば良い刺激を受け、今の研究をブラッシュアップする事ができるのではないかと思い参加を決意しました。また開催地が、有名な温泉街である箱根であったのも非常に魅力的でした。
口頭発表
今年は51名の参加者、34の演題発表がありました。内容は、短鎖から長鎖のRNAにかけて、コーディングからノンコーディングなRNA、そしてmRNAから合成される新生鎖ペプチドとこれを合成しているリボソーム。一口にRNAと言っても、様々なポイントにフォーカスし、それに対するアプローチの仕方も人それぞれで、全く飽きる事がありませんでした。今回のミーティングを通して感じたことは、網羅解析を上手に使いながら実験をデザインしている方がとても多く、普段から大規模データを全く触らず泥臭い実験を行なっている身としては、目から鱗な技術が多かったです。また、どこまでも泥臭くしか実験が出来ない自分が、どのようにオリジナリティのある良い研究が出来るのだろうかと考えさせられました。もちろん、私も口頭発表を行わせていただきました。昨年に引続き質疑応答では、私自身データが弱いなと感じている部分をバシッと指摘するような質問もあり、他の学会と比べてもレベルの高い質問をして頂くことができ勉強になりました。やはり全員RNAに興味を持っていることが、このように質疑応答のレベルの高さの所以なのかなと再認識しました。
特別講演
特別講演では、東京大学の管先生の研究紹介がありました。就職活動を行なっていた時に、ペプチドリームに興味を持ち、菅先生がフレキシザイム・特殊環状ペプチド・これを用いた創薬の技術を開発された事を知っていたので、楽しみにしていました。講演を聞いた感想としては、設定されたゴールに向けて駆け抜けていくスピード感と志の高さにただ圧倒された時間でした。フレキシザイムの開発が素晴らしいのはもちろんなのですが、特殊ペプチドを用いた中分子創薬という大きな目標を達成するため、より先を見通して次々に実験をデザインされているのに感銘を受けました。
自由時間・自由討論
2日目の午後が自由時間でした。エクスカージョンとして大涌谷へのツアーも設定されていました。私はエクスカージョンには参加せず、箱根の街を散策していました。またホテルに露天風呂があったので、お昼から箱根の湯を満喫し、リラックスすることが出来ました。夜の自由討論では宴会場が設けられ、お酒を片手にお互いの研究内容、普段の研究室生活や研究に関係のないことまで和気藹々と話せる素晴らしい時間を過ごすことが出来ました。2日目の夜には発表を終わった方も多く、その開放感からから夜を明かしてなお討論されていた方もいたようです。
最後に
本ミーティングに参加することができ、素晴らしい3日間を過ごすことができました。そして自分自身の研究を見直すことのできる時間にもなったと思います。来年は、慶應大学の岩崎先生、石野さん、筑波大学の尾崎先生が世話人をされ、関東で開催されるようです。さらにお話では、バイオインフォ若手の会と共同開催になり、よりフロンティアな学会になるのではと期待しています。僕のように研究室から一人で、本ミーティングへの参加を悩んでいる方が、この文章を読んで参加を決意してもらえれば幸いです。本当に素晴らしい学会の1つだと思います。最後になりましたが、旅費援助をしていただいたこと、世話人をしていただいた岩崎先生、池内先生と各研究室のスタッフの皆さんに心からお礼を申し上げます。
写真1 特別講演の様子
写真2 集合写真