<走馬灯の逆廻しエッセイ> 第16話 「DNAメチル化解析、バイサルファイト法の発見」
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- 作成者:古市 泰宏
ーーーこの発見は、M. Frommer (豪)、R. Shapiro (米)、H. Hayatsu (日)の3人によってなされたーーー
DNAのメチル化とエピジェネティックス
次世代DNAシークエンサーとコンピューターの進歩により、ゲノムDNAを読み取る技術が飛躍的に向上し、個人のゲノム情報が、安価にかつ短時間のうちに解明され、個の医療へ役立てる時代になった。親から授かった、先天的なゲノム配列の解読は大事だが、特定する遺伝子の働きが、どのように制御されているかを知るためには、遺伝子のスイッチ役であるエピゲノムの情報 (―――後天的な遺伝子制御を意味するーーー) がさらに必要である。エピゲノム制御は、DNAの特定な部位でのメチル化により行われる。実際、高等生物のDNAのなかには微量の5-メチルシトシン (m5C) ならびにその水和物5-ヒドロキシメチルシトシンが含まれていて、遺伝子の上流部位において遺伝子の発現を制御していることがわかっている。したがって、DNA配列中の何処にm5Cがあるかを知ることは、ゲノム医科学や医療診断の分野においても、非常に重要になってきた。