2018年10月 第38号

RNAは未知の部分が多く、まだまだドラマが期待できる、興味の尽きない領域だ

DNAやタンパク質の品質管理 

「生体を構成する物質の品質管理」なんていうと、とても重苦しい。しかし、細胞にとっては非常に重要で、DNAやタンパクなどの品質を管理するシステムがあることはよく知られている。遺伝子DNAの修復は、最も重要で、修理方法もいくつかある。修理不能であれば、細胞ごと消去する。この操作がシッカリできてないと細胞は癌化したりする。タンパクの品質管理には、立体構造の崩れをチェックして、手直しするシャペロンというタンパクがある。シャペロンは、「不良品!」というタグをつける。タグはユビキチンという小さなタンパクだ。このタグが不良タンパク分子の外側に突き出ているリジンに付くと、細胞質内にあるプロテアソームという筒状のマシーンへ運ばれ分解される。かくして、古いタンパクは消失し、新しい分子に置き換えられる。

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はじめに

アメリカニューヨーク州ロチェスター大学のリン マクアット教授(以下リン)の研究室(ラボ)にて、mRNA分解機構の一種である、Nonsense-Mediated mRNA Decay (NMD)の分子メカニズムを研究しております黒崎辰昭と申します。アメリカ生活も当初の予定では2-3年のつもりが、早いもので気づけば9年にもなってしまいました(新婚でアメリカに一緒に渡ってきた妻には、“話が違う!”と耳が痛いことをよく言われます)。そこまでアメリカは居心地が良いのかというと、必ずしもそういう訳ではないのですが、本稿では9年に及ぶアメリカ生活において僕が日々感じる、アメリカと日本の生活や研究環境の違いについて、ご紹介できればと思っております。特に今、留学を悩まれている方にとって、何か参考になることがあれば幸いです。

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平成30年4月30日、世界的なRNA研究者の一人であるProf. Elisa Izaurraldeがご逝去されました。心よりご冥福をお祈りいたします。RNA学会では、Prof. IzaurraldeのRNA研究への多大なご貢献に感謝し、Izaurralde研究室にポスドクとして4年間在籍した鹿島勲さんに追悼文をいただきました。

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平成30年4月30日、世界的なRNA研究者の一人であるProf. Elisa Izaurraldeがご逝去されました。心よりご冥福をお祈りいたします。RNA学会では、Prof. IzaurraldeのRNA研究への多大なご貢献に感謝し、Iain Mattaj研究室で同時期にポスドクとして在籍していた大野睦人会員に追悼文をいただきました。

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